タマミジンコ科

タマミジンコ科 (Moinidae)

タマミジンコ科は、ミジンコ類の一群であり、特に淡水環境に生息する生物です。この科には主に二つの属、タマミジンコ属 (Moina) とタマミジンコモドキ属 (Moinodaphnia) が含まれています。

1. 特徴と分類

タマミジンコ科は、他のミジンコ科と非常に似ており、かつては同じグループに分類されていました。しかし、彼らには明確な特色があります。例えば、全身は甲殻で覆われており、二叉の第二触角や異なる形状の遊泳脚となっています。また、消化管は回曲せずにまっすぐに伸びている点も共通しています。

一方で、タマミジンコ科の特異な特徴として、比較的大きな頭部や、発達した吻が口の上にないことが挙げられます。第一触角は特に目立っており、大きく発達して前に伸びています。雌はこの触角が長楕円形をしており、まるで葉巻をくわえたような印象を与えます。雄は触角の先端がより長く伸び、小さな鉤が付いていることが特徴です。この特徴は雌を把持する際に利用されると考えられています。

さらに、この科の生物の尾の先端部は、三角形で先端に向けて細くなり、ここに叉状の爪と小さな爪が計数個並びます。これらは種の分類の手掛かりにもなります。全体的に、甲殻は左右が扁平でなく、丸みを帯びています。この特徴が「タマミジンコ」という名称の由来です。雌と雄では形状が異なり、一般的に雌がよりふっくらとした形状をしています。

この生物は浅い淡水域で主に見られ、時折非常に高い密度で繁殖することがあります。特に水田などでは、この現象が顕著であり、密集することで水の色が変わることもあります。

2. 生活史と繁殖

タマミジンコ科の生活史は、主に雌が単為生殖で子供を生むことに特徴づけられます。とはいえ、雌が時折雄を産み、交尾を行って耐久卵を生むこともあります。この交尾の過程は年に一度または春秋の二回行われることが多い他のミジンコ属とは異なり、タマミジンコ科は何度も雄を産出し、耐久卵を生む「多環性」の特徴があります。これにより、様々な季節にわたって耐久卵を見つけることが可能です。

特にタマミジンコ属のM. macrocarpaは、金魚やその他の稚魚の養殖で頻繁に餌として用いられ、養殖場での特別な管理のもとで増やされることもあります。

3. 分類と種

タマミジンコ科には約50種が記載されていますが、実際の種数は半分程度であるとされています。タマミジンコ属が一般的に分布していますが、タマミジンコモドキ属は、通常の眼に加えて小さな単眼を持っていることが特徴です。

代表的な種

• - Moina Baird, 1850 (タマミジンコ属)

- M. macrocarpa: 日本全国に分布し、特に夏に浅い水域や水田に出現します。繁殖が盛んな時期には水の色が変わることもあります。
- M. micrura: 余時間帯に多く見られ、熱帯地域に広く分布しています。
- M. weismanni: 世界中に存在し、日本では東北以南の地域で見かけることができます。

• - Moinodaphnia (タマミジンコモドキ属)

- M. macleayii: 日本では最近発見された種で、2005年に初めて報告されています。

以上のように、タマミジンコ科の生物はその独特な生態や特徴により、多くの研究と注目を集めています。

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