タミ宣教会

タミ宣教会の歴史とその影響

概要

タミ宣教会（ダミセンキョウカイ）は、李長林牧師によって創設された韓国のキリスト教系宗教運動です。その名称は、終末に備えるという意味を持っており、「やがてやってくる終末の未来に備えよ」という意図があります。1992年10月28日に、世界の終末が訪れるとする予言が行われ、その影響で国内外に大きな混乱を招きました。この運動は当時、社会問題として取り上げられ、信者たちの多くが予言を信じるあまり、思わぬ事態へと至りました。

予言の背景

李牧師はこの宗教運動を通じて、1992年10月28日に14万4千人の信者が昇天し、その後に地獄のような患難の時代が訪れる予言をしました。この予言は、ある少年の幻視に基づいており、李牧師は1987年に出版した著書でその概念を詳細に説明し、広く宣伝しました。

社会的混乱

この予言に対する信者の反応は非常に熱狂的で、韓国国内においては「社会的危機」とも呼ばれる事態が発生しました。信者たちは、昇天の瞬間を待ちながら、精神的なプレッシャーにより悲劇的な行動に出る者もいました。特に、妊娠中の信者が中絶したケースや、終末の日を待たずに自殺を選んだ信者が相次ぎました。さらに、ロサンゼルスで行われた断食イベントでは、参加者の中に栄養失調で命を落とす者も現れ、この事件はタミ宣教会に対する批判を一層強めました。

政府の対応

政府はこの運動を「危険なカルト」として扱うようになり、教会に対する捜査を開始しました。その中で李牧師は詐欺の疑いで逮捕され、信者たちから集めた資金の一部を不法に使用したとして有罪判決を受けました。これらの動きは、タミ宣教会に対する信頼を完全に失わせる結果となり、怖れを抱く一般市民の中で広がっていきました。

1992年10月28日当日

予言の日、教会では一部の信者が異常な行動に出ました。家具を燃やすなどの儀式が行われ、占拠した教会には多くの信者が訪れました。警察は集団自殺を防ぐために厳重な警備を行い、深夜0時を迎えると一人の少年が「何も起きていない」と叫びました。この瞬間、予言は無事に実現しないことが分かり、騒乱は収束しました。

運動の崩壊

結局、この事件はタミ宣教会の終わりを告げることとなりました。李長林牧師は自身の行動を悔い、教会の解散を発表しました。その後、法的手続きが進み、懲役と罰金が科せられることになりました。また、李牧師は自らの予言が外れたことから、世界中の誤った終末予言を浮き彫りにする運命にあるとされ、イグノーベル賞を受賞することとなります。このように、タミ宣教会は歴史的にも重要な教訓を我々に示しています。

もう一度検索