タランチュラ

タランチュラの伝説と誤解

タランチュラとは、ヨーロッパの伝説に登場する毒グモの名前です。その語源は、南イタリアの港町タラントに由来するとされています。タラント地方には、古くから毒グモに噛まれると「タランティズム」という病気を発症するという言い伝えがありました。

タランティズムにかかった人々は、激しい苦痛や精神的な錯乱に悩まされ、死に至ることもあったと伝えられています。しかし、タランティズムには奇妙な治療法がありました。それは、「タランテラ」と呼ばれる激しい踊りを踊り続けることで、体内の毒素を排出するというものでした。タランテラの音楽は、この伝説に触発されて生まれたと言われています。

伝説のクモの正体

伝説のタランチュラの正体として有力視されているのが、タラント地方に生息する大型のコモリグモの一種、タランチュラコモリグモ（Lycosa tarantula）です。タランチュラコモリグモは、メスの体長が約27mm、オスが約19mmと、コモリグモの中では大型ですが、実際には毒性はそれほど強くありません。

タラント地方には、人間にとって危険な猛毒を持つジュウサンボシゴケグモ（Latrodectus tredecimguttatus）も生息しています。全長約1cmのジュウサンボシゴケグモよりも、より大きく目立つタランチュラコモリグモの方が人々の目に触れやすく、誤解が広まったと考えられています。

タランチュラの名前の広がり

タランチュラの伝承を知るヨーロッパ人が新世界（南北アメリカ大陸）に渡った後、彼らはそこで出会う大きなクモを見て「タランチュラ」と呼ぶようになりました。当初はアシダカグモ類もタランチュラと呼ばれていたようですが、次第にオオツチグモ科のクモなどを指すようになりました。

クモの分類

タランチュラは、生物学的にはクモの仲間であり、以下の様に分類されます。

クモ亜目
トタテグモ下目
Atypidae ジグモ科
Dipluridae ホンジョウゴグモ科
Hexathelidae ジョウゴグモ科
Mecicobothriidae イボナガジョウゴグモ科
Theraphosidae オオツチグモ科
クモ下目
コモリグモ科
コモリグモ属（Lycosa）
* タランチュラコモリグモ（L. tarantula）

結論

タランチュラは、伝説と誤解が入り混じった興味深い名前を持つクモです。本来はヨーロッパの特定のクモを指す言葉でしたが、新世界に渡った人々によって大型のクモ全般を指す言葉として広まりました。現在では、特にオオツチグモ科のクモを指すことが多いですが、その名前の由来となった伝説についても知っておくと、より深くタランチュラについて理解することができます。

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