タルシス三山

タルシス三山とは

火星の赤道近くに広がる火山性高地、タルシス地域には、三つの非常に大きな楯状火山が南北に並んでいます。これらはまとめて「タルシス三山」（英語名：Tharsis Montes）と呼ばれており、火星を代表する壮大な地形の一つです。

北から順番に、アスクレウス山、パヴォニス山、そしてアルシア山という名が付けられています。

その巨大さ

タルシス三山を構成する火山は、いずれもその規模において特筆すべきものです。

それぞれの直径は非常に大きく、例えばパヴォニス山は約375キロメートル、アルシア山に至っては約475キロメートルにも及びます。これらは、地球上で最大の火山として知られるハワイ島のマウナ・ロア山の直径（約120キロメートル）と比較しても、格段に大きいことがわかります。

高さにおいても、タルシス三山は地球の火山を圧倒しています。三山の中でも最も高いのはアスクレウス山で、その山頂は火星の平均標高から18キロメートル以上の高さに達します。麓からの実際の高さでも、約15キロメートルを超えています。

マウナ・ロア山が海底の麓から約9キロメートルの高さであることを考えると、タルシス三山の規模がいかに並外れているかが理解できます。

位置と周辺環境

タルシス三山が位置するタルシス地域は、火星において特に標高の高いエリアです。この地域は数千キロメートルにも及ぶ広大な範囲に広がり、その平均標高は火星全体の平均より約10キロメートルも高くなっています。

まるで火星表面にできた巨大な「こぶ」のようなこの高地に、タルシス三山は鎮座しています。

また、このタルシス地域は、太陽系全体で最も高い山として知られるオリンポス山が存在する場所でもあります。オリンポス山は、タルシス三山からは北西に約1,200キロメートル離れたタルシス地域の端に位置しており、この地域が火星における火山活動の中心地であったことを物語っています。

タルシス三山は、その巨大な姿と火星の特異な地形であるタルシス地域という環境が組み合わさることで、他の惑星には見られないユニークで壮大な景観を作り出しています。これら三つの火山は、火星の過去の激しい火山活動の証であり、惑星科学において重要な研究対象となっています。

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