タワーハッカー

タワーハッカーは、かつて東京都文京区にある遊園地、東京ドームシティアトラクションズ（旧称：後楽園ゆうえんち）内に設置されていた、スイスのインタミン社製のドロップ・タワー型絶叫アトラクションです。

1996年4月26日、日本で初めてのタワー型垂直落下アトラクションとして華々しく開業しました。開業当時は、その高さとスリルにおいて国内最高峰を誇り、多くの遊園地ファンや絶叫マシン愛好家から注目を集めました。

このアトラクションの大きな特徴は、既存の施設を改築して誕生した点にあります。タワーハッカーのタワー部分は、かつて存在した展望アトラクション「後楽園タワー」を解体せず、そのまま再利用していました。タワー本体に新たな塗装を施し、垂直落下のためのレールを取り付けることで、全く新しいアトラクションとして生まれ変わったのです。さらに、ゴンドラを巻き上げるためのモーターも、後楽園タワー時代のものが再活用されていました。そのため、運行方式にも特徴があり、他の多くのドロップ・タワーのようにゴンドラごとに独立した巻き上げ機構を持つのではなく、全てのゴンドラが連携して一斉に上昇する仕組みとなっていました。

タワーハッカーが提供するスリルは強烈でした。地上80メートルの最高到達点までゴンドラが上昇した後、突如として拘束が解放され、重力に従って垂直に落下します。自由落下距離は約50メートル。最高速度は時速98キロメートルに達し、乗客は最大5Gという強烈な加速度に晒されました。わずか約1分30秒という短い時間の中に、地上80メートルからの絶景と、そこからの予測不能な落下という、極限の体験が凝縮されていました。

開業当初、タワーハッカーには6台のゴンドラ（オレンジとグリーン各3台）がありました。しかし、運用中にグリーンのゴンドラが落雷の影響を受けて故障し、修復不能となったため、2004年以降はオレンジの3台のみでの運行となりました。

機械の老朽化は避けられず、度々メンテナンスによる一時的な運行休止に見舞われることもありました。そして、その歴史に終止符が打たれることとなったのは、2011年の出来事がきっかけです。2011年1月31日、同じ園内の別のアトラクション「スピニングコースター舞姫」で痛ましい事故が発生しました。この事故を受け、タワーハッカーが位置するエリアを含む「タワーランド」全体が安全確認や工事のために閉鎖され、タワーハッカーも運転を休止することになりました。残念ながら、この休止期間中に機械の老朽化が進行していることが確認され、安全な運行継続が困難と判断されたため、そのまま営業を再開することなく、タワーハッカーは惜しまれつつその役目を終えることとなりました。

タワーハッカーに乗車するためには、いくつかの規定がありました。身長は130cm以上が必要で、年齢は65歳未満と制限されていました。また、身長が130cm以上であっても、11歳未満のお子様の場合は、安全のため中学生以上の付添者が必要でした。

営業期間中には、痛ましい事故も発生しています。2010年11月29日午前9時過ぎ、女性従業員がアトラクションの頂上部分で点検作業をしていた際に、モーターやケーブルに指を挟まれ、指3本を切断するという労働災害が発生しました。これは、地上にいた同僚との2人での作業中に起こった事故でした。

現在、タワーハッカーは存在しませんが、タワーハッカーのそばには、より小さな子供でも楽しめる「キッズハッカー」というアトラクションがあり、こちらは2022年時点でも稼働しています。

スペック:
最高到達点：80m
タワー高さ：100m
自由落下距離：50m
最高速度：時速98km
最大加速度：5G
所要時間：約1分30秒
製造メーカー：インタミン（スイス）

乗車規定:
身長130cm以上
* 年齢65歳未満（身長130cm以上でも11歳未満の場合は、中学生以上の付き添いが必要）

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