タワーリング・インフェルノ

『タワーリング・インフェルノ』

1974年に公開された『タワーリング・インフェルノ』は、アメリカのパニック映画の代表作として知られています。この映画は、地上550メートル、138階建ての超高層ビル、グラスタワーを舞台に、発生した火災を中心に物語が展開します。監督はジョン・ギラーミン、主演はスティーブ・マックイーンとポール・ニューマンをはじめとする豪華なキャストが揃い、映画は大ヒットを記録しました。

あらすじ

グラスタワーの落成式が行われる日は、訪れた多くの来賓を迎える盛大なイベントとなります。しかし、地下の発電機の故障から引き起こされた小さな火花が、瞬く間に火災へと拡大し、ビルは炎の渦に包まれます。設計者のダグ・ロバーツ（ポール・ニューマン）は、万が一のことを考え、ビルの安全性について危惧を持ちながらこの日を迎え、婚約者のスーザン（フェイ・ダナウェイ）との将来について考えています。しかし、火災の広がりとともに、彼の計画は次第に崩れます。

火災が発生したことに気づいたロバーツは、急いでダンカン社長（ウィリアム・ホールデン）に報告し、式典の中止と客の避難を提案しますが、ダンカンは消防隊が何とかするだろうと楽観視します。しかし、火災はますます激化し、ビルの中には恐怖と混乱が広がっていきます。

主要キャラクターとその背景

この映画の魅力には、豪華キャストによる演技が欠かせません。スティーブ・マックイーンが演じる消防隊のチーフ、マイケル・オハラハンは、火に包まれたビルでの救助活動を指揮し、危険を顧みず人々を救おうと奮闘します。ポール・ニューマンは設計者のロバーツ役として、ビルの安全性を訴え続ける重要な役割を果たします。

他にも、ビルの責任者であるロジャー・シモンズ（リチャード・チェンバレン）や、喫煙者のハーリー・クレイボーン（フレッド・アステア）など、さまざまな背景を持つキャラクターたちが描かれています。彼らの葛藤や救助のための奮闘が、物語に深みを与え、観る者を引き込んでいきます。

映画の成功と影響

『タワーリング・インフェルノ』は、その前年に公開された『ポセイドン・アドベンチャー』に続くパニック映画ブームの一環として、多くの注目を集めました。日本では1975年に公開され、当時の映画界においても大ヒットを記録し、社会現象となりました。この作品は、アカデミー賞でも高い評価を受け、撮影賞、編集賞、歌曲賞の3部門で受賞しています。

製作背景

本作が特筆される点の一つは、ワーナー・ブラザースと20世紀フォックスが共同制作した映画であるということです。これは当時、革新的な試みであり、興行収入にも大きな影響を与えました。また、音楽はジョン・ウィリアムズが担当し、主題歌「We May Never Love Like This Again」はヒットし、映画の印象をさらに強めました。

日本市場における影響

日本での公開は、当時の映画における新たな形態を提示し、海外作品の広がりを象徴するものでした。特に興行の初日・2日間での入場者数は約20万人に達し、今もなお記憶に残る興行記録を樹立しました。映画は洋画の中で最高のヒットを記録し、多くの映画初心者にとって強い印象を残しました。

結局、『タワーリング・インフェルノ』は単なるパニック映画以上のものであり、超高層ビルや現代社会の脆さを描いた作品として、今後も語り継がれることでしょう。

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