タンゴ・冬の終わりに

タンゴ・冬の終わりに

『タンゴ・冬の終わりに』は、清水邦夫による日本の舞台作品で、1984年に蜷川幸雄が演出を務めて初演されました。この作品は、その後日本国内外で何度も再演され、特に1991年にはロンドンで公演が行われたことが特徴的です。著名な英国俳優と日本のスタッフが結束して商業演劇の中心地であるウェストエンドで長期間上演されたことは、演劇界における一大イベントとして広く注目されました。

上演歴

作品の初演は1984年4月3日から30日まで、日本のPARCO西武劇場にて行われました。この新たな作品に、多くの観客が集まりました。1986年には再演され、再度PARCO劇場で上演されました。その後、21世紀に入ってからも作品の魅力は色褪せず、2006年には20年ぶりに国内で上演され、2015年には初演の地であるPARCO劇場に戻り、約30年ぶりの再演を果たしました。

登場人物

作品には多くの印象的なキャラクターが登場します。主人公の清村盛は、有名な舞台俳優として知られていますが、突然の引退宣言をし、故郷の古い映画館でひっそりと過ごします。彼の妻、ぎんは害を及ぼさないように見守っています。他にも名和水尾や名和連、清村重夫などが登場し、物語が展開していきます。

あらすじ

物語は、清村盛が引退後に精神的に追い詰められ、現実と虚構の境界を見失っていく様子を描いています。彼のもとに、かつての恋人である若手女優が訪れることで、彼の心の葛藤が浮き彫りになります。清村の狂気が進行する中、彼と周囲の人々との関係性が緊迫した反響を呼び起こします。

この舞台作品は、視覚的な美しさとともに、登場人物の複雑さと葛藤を通じて観客に深い感情を呼び起こします。舞台美術や照明、音響の演出も特徴的であり、それらの要素が組み合わさって、観客に印象深い体験を提供します。

受賞歴

『タンゴ・冬の終わりに』は、その質の高さからいくつかの賞も受けています。1984年に松本典子が受賞した第37回芸術選奨演劇部門の文部大臣賞をはじめ、2006年の再演では段田安則が第6回朝日舞台芸術賞や第14回読売演劇大賞での大賞、および最優秀男優賞を受賞しました。

まとめ

『タンゴ・冬の終わりに』は、清水邦夫が創り上げた深い影響を持つ作品です。そして蜷川幸雄の手による演出は、視覚的な美しさだけでなく、心理的な深さをも兼ね備えています。国際的な舞台でも評価され、今日まで多くの観客を魅了し続けています。この作品は、演劇の新たな方向性を提示し、演出の可能性を広げる重要な役割を果たしました。

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