ターボポンプ

ターボポンプは、羽根車（インペラ）を高速回転させ、流体（液体や気体）に運動エネルギーを与えて移送するポンプの総称です。流体を連続的に送り出す非容積形ポンプ、あるいはターボ形ポンプの一種として位置づけられます。

この範疇に含まれる一般的なポンプには、遠心ポンプ、軸流ポンプ、斜流ポンプなどがあります。遠心ポンプは、流体を羽根車の中心から外周へ遠心力で押し出し、高い圧力を生み出すことに優れています。軸流ポンプは、流体を回転軸に平行に流し、大流量を低い圧力で移送するのに適しています。これらは、産業、農業、都市インフラなど、幅広い分野で様々な流体を扱うために広く利用されています。

また、「ターボポンプ」という言葉は、ロケットエンジンの推進剤供給システムにおける高性能なポンプを指すこともあります。液体燃料ロケットでは、燃料と酸化剤を燃焼室へ高圧で供給するために、タービン駆動式のターボポンプが不可欠です。これらのポンプは、エンジンの燃焼ガスなどで駆動されるタービンによって回転され、超低温かつ高密度の液体を極めて短時間のうちに、燃焼に必要な圧力まで昇圧して送り込みます。ロケットエンジンの高性能化や軽量化には、このターボポンプの高効率化が不可欠であり、エンジン性能を大きく左右する重要な要素です。

さらに、真空技術の分野では、高真空や超高真空の達成に「ターボ分子ポンプ」が広く使われます。このポンプは、高速回転する複数のブレードが気体分子に運動量を与え、排気口方向へ効率的に運び出す原理に基づいています。特に、分子の平均自由行程がポンプの寸法より長い「分子流領域」での排気性能に優れており、油を使用しないためクリーンな真空を得られるのが大きな特徴です。半導体製造装置、質量分析装置、粒子加速器など、高度な真空環境が必要とされる多くの分野で不可欠な存在となっています。

このように、「ターボポンプ」という用語は、羽根車を用いる一般的なポンプの分類を指す場合と、ロケットエンジンや真空技術といった特定の高度な応用分野で用いられる高性能なポンプシステムを指す場合があります。それぞれの分野で求められる機能は異なりますが、いずれも流体に移送能力を与える重要な役割を担っています。

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