タ弾

タ弾について

「タ弾」とは、日本の陸軍と海軍が開発した成形炸薬弾の秘匿名称で、主に2つの用途があります。一つは対戦車用の成形炸薬弾、もう一つは航空機搭載型の空対空・空対地用クラスター爆弾に内蔵されている弾頭です。以下にそれぞれの内容を詳しく解説します。

対戦車用タ弾

タ弾は、ナチスドイツから成形炸薬弾に関する技術供与を受けて開発されたもので、陸軍では「穿甲榴弾」、海軍では「円錐弾」と呼ばれています。この弾はモンロー効果（ノイマン効果）を利用した化学エネルギー弾で、独特な構造を持っています。

弾体は、炸薬が充填され、楕円形で開孔された円錐形の先端を持ち、内部には漏斗状の薄い金属製の内張りが施されています。目標に命中すると信管が作動して爆薬が爆轟し、その際に形成される金属ジェットが装甲に対して高圧を及ぼし、装甲を貫通します。このジェットにより、装甲内に燃焼ガスが押し込まれ、大きな被害を引き起こすことができます。

ただし、タ弾にはいくつかの欠点もあります。まず、弾丸が高速で旋回していると、金属ジェットの収束が妨げられ、貫通力が低下します。また、低速での命中が効果的であり、高速での命中は弾体を損傷させるかもしれません。さらに、装甲を貫通した後の内部への損害は、徹甲弾と比較して劣ります。

空対空・空対地用タ弾

もう一つのタ弾は、成形炸薬弾頭を備えた航空機搭載型の空対空・空対地用クラスター爆弾です。このタ弾も成形炸薬に関連した技術を基に、陸軍航空技術研究所によって開発されました。

この弾の特徴は、爆弾の内部に多くの弾丸（子弾）が収容されており、目標に向けて投下された際、内部のベルトが解除されて子弾が散布される仕組みです。初期の試作品では、長方形の収容筒に多数の成形炸薬弾頭を収納しており、戦闘機の翼下に取り付ける形で使用されていました。

初期試作の「タ一〇二」は、装弾量や炸薬量ともに工夫がされており、テストでは非常に良好な結果を示しました。さらに、これらの爆弾は飛行機の編隊や地上部隊攻撃のために広範囲で使用されました。

ただし、空対空用としての使用は難易度が高く、特にB-29などの大型爆撃機に対しては、技術的なハードルが大きく、徐々に効果が疑問視されるようになりました。しかし空対地での攻撃については特に有効性があり、連合軍に対しても一定の成果を挙げていました。

まとめ

以上のように、タ弾は日本の陸海軍によって開発された多用途の成形炸薬弾であり、特に対戦車能力において一時期は注目を集めました。また、航空機搭載型の使用でも高い効果を発揮し、様々な戦線でその存在感を示しました。技術の進展により、戦後もその理念や設計は長い影響を残していったと考えられます。

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