ダイオウクラゲ

ダイオウクラゲ：深海に潜む巨大な影

ダイオウクラゲ（学名：Stygiomedusa gigantea）は、深海に生息する世界最大級のクラゲの一種です。その学名は「地獄の巨大なメデューサ」を意味し、体長を遥かに超える長い口腕が、ギリシア神話に登場する蛇髪のメデューサを連想させることに由来します。

特徴

ダイオウクラゲは、水深1000〜1700mの深海に生息し、傘の直径が1mに達することもあります。体の中央からは、6〜9mにも及ぶ4本の太い口腕が垂れ下がっています。口腕の長さではライオンタテガミクラゲやマヨイアイオイクラゲに及ばないものの、その太さとボリュームは他のクラゲを圧倒します。

体色は漆黒で、赤みがかった色合いを帯びています。光の反射によっては、緑がかった黒色に見えることもあります。

生息域と発見例

ダイオウクラゲは、北極海を除く世界中の深海に生息すると考えられています。日本近海（小笠原付近）でも発見例がありますが、カリフォルニア州のモントレー湾や南極など、広い範囲で目撃されています。

しかし、その巨大な体躯にも関わらず、発見例は非常に稀です。長い口腕がケーブルやワイヤーに絡まって発見されることもありますが、遊泳速度が遅いため、観察が難しいと考えられています。2023年現在までの発見例は、わずか100回程度と推定されています。

生態

ダイオウクラゲの生態は、未だ多くの謎に包まれています。触手に毒はないものの、長い口腕で獲物を囲い込み、絡め取って捕食すると考えられています。深海という特殊な環境に適応した、独自の狩猟方法を持っているのかもしれません。

まとめ

ダイオウクラゲは、その巨大な姿と深海に潜む生態から、私たちに神秘的な印象を与えるクラゲです。発見例が少ないため、未解明な部分も多く残されていますが、今後の研究によって、その生態が明らかになることが期待されます。

参考文献

* 『潜水調査船が観た深海生物　深海生物研究の現在　海洋研究開発機構』藤倉克則・奥谷喬司・丸山正

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