ダイオウサソリ

ダイオウサソリ（大王蠍）

ダイオウサソリ（Pandinus imperator）は、サソリ目コガネサソリ科に属する大型のサソリです。その堂々とした外観から「皇帝」を意味する学名が与えられています。

特徴

ダイオウサソリは、体長が20cmを超えることもある、世界最大級のサソリとして知られています。体色は青みがかった黒色で、がっしりとした体格をしています。近縁種のチャグロサソリと比較すると、横幅が広く、ハサミが円形に近いのが特徴です。

性質は比較的穏やかで、毒性も弱いとされています。しかし、太く頑丈なハサミは強力で、挟まれると人間でも怪我をする可能性があります。ワシントン条約のサイテスIIに指定されており、国際的な取引が規制されています。

分布

ダイオウサソリは、西アフリカに生息しています。

毒

毒性は低いとされ、刺されても軽度の腫れやかゆみ程度で済むことが多いようです。重篤な症状を引き起こした例は報告されていません。

近似種

ダイオウサソリには、いくつかの近似種が存在します。

オオダイオウサソリ（ソウトウサソリ）
カメルーンに生息する種類で、ダイオウサソリよりも大型になることがあります。学名には「独裁者」という意味があり、ダイオウサソリよりも攻撃的な性格です。
レッドクロウエンペラースコーピオン
ハサミと体色が赤みを帯びているのが特徴です。ダイオウサソリと同様にアフリカに生息しますが、やや小型で、攻撃的な性格を持つ個体が見られます。
チャグロサソリ
東南アジアに広く分布する大型種です。体長はダイオウサソリに匹敵するほどですが、全体的に細身でスマートな体型をしています。ダイオウサソリよりも気が荒く、攻撃的です。複数の種が含まれており、地域によって個体差や毒性の強弱に違いがあると言われています。

生態

ダイオウサソリは、熱帯雨林の林床に生息しています。夜行性で、昼間は地面に掘った巣穴や倒木の下などで身を潜めています。食性は動物食で、昆虫類や節足動物などを捕食します。獲物は触肢で捕らえ、切り刻んでから食べます。毒針は主に自衛のために使用されます。

繁殖形態は卵胎生で、10数匹の幼体を産みます。生まれたばかりの幼体は白色で、母親は幼体を背中に乗せて保護します。幼体は約1週間後に独立し、3年ほどで成体になります。寿命は最長で10年ほどです。

人間との関係

ダイオウサソリは、ペットとして飼育されることもあります。しかし、サソリであるため、脱走や不適切な管理による事故には注意が必要です。毒性は低いものの、刺されると痛みや腫れが生じる可能性があるため、注意が必要です。また、ワシントン条約によって保護されているため、飼育には適切な手続きが必要です。

脚注

ワシントン条約記載種、タクサリスト
CITES homepage

参考文献

秋山智隆『毒虫の飼育繁殖マニュアル』、データーハウス、2001年
『小学館の図鑑NEO 両生類はちゅう類』、小学館、2004年、71頁。
相原和久・秋山智隆『節足動物ビジュアルガイド タランチュラ&サソリ』、誠文堂新光社、2007年、101頁。

関連項目

* サソリ

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