ダイバー0

漫画『ダイバー0』について

『ダイバー0（ゼロ）』は、松本零士によって創作された日本のSF漫画作品です。1975年から1976年にかけて『少年サンデー増刊号』で連載され、全六話の物語が展開されました。この作品は、一話完結の形式で描かれ、アンドロイドたちの復讐劇が中心となっています。

物語の背景

物語は、西暦2999年の地球を舞台にしています。この時代、人類は宇宙に進出し、植民地を築く一方で、地球上の自然はほとんど失われてしまいました。人間にとって便利な存在であるロボットやアンドロイドは、大量に生産されていましたが、必要なくなったものは無情にも月面に捨てられるという現実が描かれます。特に、女性型アンドロイドWG一八七二三三号は、欠陥品と判断され、製造主である蛮古教授によって月に追放されました。月では、他のアンドロイドたちと共に生き延び、彼女はゼロという少年型のアンドロイドを生み出すことになります。

主人公ゼロの誕生

ダイバーゼロは、WG一八七二三三号の心臓と頭脳を使って生まれました。彼は、月で無念の死を遂げたアンドロイドたちの思いを受け継ぎ、復讐のために地球に降り立ちます。ゼロは、自らの母の仇である蛮古教授を始め、彼を恐れる人々に対して容赦なく闘います。

しかし、ゼロは次第に自らの目的に疑問を抱くようになります。そのきっかけとなったのが、キャプテンハーロックとの出会いでした。彼との交流を通じて、ゼロは人間にも理解者がいることに気づき、ただ復讐することだけが人生ではないと考えるようになります。

主要なキャラクター

ダイバー0（ゼロ）

月の廃棄アンドロイドたちの怨念を宿した少年型アンドロイド。彼は無限のエネルギー再生能力を持っており、母の形見を体に抱いていますが、復讐に固執する心と、キャプテンハーロックとの出会いによって次第に心が揺らぎます。

WG一八七二三三号

ゼロの出生の元となった高性能女性型アンドロイド。彼女は蛮古教授に投げ捨てられ、ゼロを作るために自らの体を犠牲にします。情愛に満ちた彼女の存在は、ゼロにとって常に力の源であり続けます。

キャプテンハーロック

宇宙の自由を求める航海者で、ゼロに人生の新たな意味を示すキャラクター。彼の教えにより、ゼロは復讐以上の目標に目覚めていきます。

作品の影響と収録歴

『ダイバー0』は、松本零士の代表作『宇宙海賊キャプテンハーロック』との関連性があります。登場人物やメカニズムに関連性が見られ、お互いの世界観を広げています。1979年と1983年には再版がなされ、2014年には全話を収録した完全版が出版されました。

結論

『ダイバー0』は、アンドロイドたちの悲劇的な復讐劇を通して、命の価値や人間とアンドロイドの関係について深く考えさせる作品です。ハーロックとの出会いをきっかけに、ゼロが新たな生き方を見つける様子は、読者に強い印象を残します。この物語は、単なる復讐譚にとどまらず、共感や理解の重要性を伝える深い内容を持っています。

もう一度検索