ダイヤル110番

ダイヤル110番

『ダイヤル110番』は、1957年9月3日から1964年9月6日まで、日本テレビとよみうりテレビが制作した日本初の刑事ドラマです。この番組は、実際に発生した事件をもとにしたストーリー構成が特徴であり、視聴者に警察活動の実情を伝えることを目指していました。

制作背景

本作の制作は、アメリカの実録刑事ドラマ『ドラグネット』から影響を受けています。日本の警視庁や警察庁、各地方の警察署から寄せられた実際の事件の資料をもとに、ストーリーが構築されました。特に、本物のパトカーが使用されたことが話題になり、視聴者の関心を引く要因となりました。

1958年には、警察庁長官からスポンサーである新三菱重工業に感謝状が贈られるなど、警察機関との協力も顕著でした。さらに、1961年には警察庁長官賞を受賞し、社会的な評価を得ることができました。

番組の特色

本作のオープニングには、警視庁の通信指令室の映像が映し出され、「はい、こちら110番！」という通報受理の場面が含まれています。また、「このドラマは、事実に基づいて制作されています」というナレーションによって、事実に基づいたストーリーが展開されることを強調していました。

ストーリーは、凶悪犯罪だけでなく、明るいエピソードや感動的な内容も織り交ぜており、時には観客を和ませる場面もありました。また、本作は一話完結ではなく、シリーズ化されたエピソードもありました。その中でも「九州シリーズ」「関西シリーズ」「科学捜査シリーズ」などが展開され、多様な視点から物語が描かれています。

キャストと放送状況

主演俳優は特に設けられておらず、同じ俳優でも異なる役名で登場することが一般的でした。この形式により、視聴者は毎回新しいキャラクターを楽しむことができました。また、視聴率は当時の人気番組の中で上位に位置することが多く、広く親しまれていました。

番組の提供スポンサーは、新三菱重工業から始まり、その後も異なる企業が担当しましたが、最終的にはヤクルトが一社提供となりました。110番という緊急通報番号の名称は、本ドラマに由来するもので、放送が始まった当時は地域ごとに番号が異なっていましたが、1954年から全国で統一されることになりました。

放送データと現存映像

『ダイヤル110番』は364話が制作され、モノクロの16mmフィルムで放送されました。放送曜日や時間は時期によって変動があり、視聴者に多様な形で楽しんでもらえる工夫が凝らされていました。現存する映像はほとんどないものの、第148話「上野発22時15分」と第233話「すれっからし」などが保存されており、貴重な資料として残っています。

結論

『ダイヤル110番』は、日本のテレビドラマ史に名を刻んだ重要な作品であり、観客に現実の犯罪や警察活動について考えさせるきっかけを与えました。今日においても、警察ドラマの金字塔としてその存在は評価されています。

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