ダウニング街11番地

ダウニング街11番地について

ダウニング街11番地（11 Downing Street）は、英国内の財務大臣が居住する官邸として有名です。隣にある首相官邸の10番地と共に、1682年に着工し、1684年に完成しました。一般的に「ナンバー11」という表現で知られており、その正式な役割は1828年に、財務大臣の公式官邸として認識されたことで始まりました。

歴史的背景

最初に11番地に入居した財務大臣は、ヘンリー・ペティ＝フィッツモーリス卿であり、彼の任期は1806年から1807年まででした。この官邸に住むことが公式に定められる以前も、さまざまな政治家がこの地に住んでいました。その後、近年ではテリーザ・メイやボリス・ジョンソンが、他の理由から11番地に居住することを選びましたが、2022年に就任したリズ・トラスやリシ・スナクは再び10番地を選んでいます。

地理的特徴

ナンバー11は、石炭やレンガを使ったジョージアン様式の建物で、セント・ジェームズ・パークやホース・ガーズ・パレードを見下ろす位置にあります。ダウニング街を歩くと、ナンバー12、11、10と続く形で並んでおり、周辺の歴史的な景観を楽しむことができます。

隣接するナンバー10は、19世紀から首相および第一大蔵卿の官邸として使用されており、現在もその役割を果たしています。また、ナンバー12は与党院内幹事の官邸として利用されていたが、最近の改編によりその役割が変化しています。これらの官邸は建物の改築も繰り返され、現代ではナンバー11からナンバー10への直通アクセスが可能になっています。

建築的な変遷

ダウニング街11番地の建物は、初代準男爵サー・ジョージ・ダウニングによって建設され、1682年から1684年の間に完成しました。改築や装飾も多く行われ、1723年から1735年、1766年から1775年にかけていくつかの変更が加えられました。著名な建築家サー・ジョン・ソーンによる改装もあり、1960年代にはレイモンド・エリスによる大規模な改修工事が実施されました。

特筆すべきは、住所の「11」が、一般の番地とは異なり住居番号である点です。これにより、正確には「ダウニング街11」という形で呼称されるべきなのです。

居住者の変遷

歴史的には、11番地は財務大臣との関連が薄い時期もありました。1730年代にはホイッグ党のメンバーが居住していたこともありますが、やがて財務大臣が中心となって住むようになりました。特に重要なのは、1828年以降、財務大臣の公式官邸としての位置づけが確立されたことです。

次々と入居者が変わっていく中、18世紀から19世紀にかけて様々な政治家がここに居住しました。1990年代にはトニー・ブレアが家族と共に住むために選び、その後は財務大臣を務めたゴードン・ブラウンもここに住んでいましたが、すぐにナンバー10に移りました。

このように、ダウニング街11番地は単なる官邸にとどまらず、イギリス政治の歴史を語る上で重要な場所として位置付けられています。近年の入居者の変化は、政権の方針や財務大臣とは邸宅の選択にも影響を与えていることがわかります。

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