ダウンタウン物語 (映画)

『ダウンタウン物語』(Bugsy Malone)は、1976年に公開されたアラン・パーカー監督によるイギリス映画です。禁酒法時代のニューヨークの下町を舞台に、子供たちが演じるギャング同士の抗争を描いた、ユニークなクライムコメディ作品となっています。

映画の見どころは、何と言っても子供たちが演じるギャングたちです。20世紀初頭の服装に身を包んだ子供たちは、クリームではなく漆喰を詰めたパイをマシンガンに見立てて撃ち合うという、独特の演出で、大人顔負けのギャング映画をコミカルに再現しています。当時14歳だったジョディ・フォスターが妖艶な歌姫タルーラを演じているのも大きな魅力です。彼女の歌声と存在感は、子供たちのギャング映画という枠を超えた、作品全体の雰囲気を彩っています。

ストーリーは、太っちょサム率いるギャング団と、ダンディー・ダン率いるギャング団の抗争を中心に展開します。新型のパイ投げマシンガンを手に入れたダンディー・ダンは攻勢に出ますが、サムは密造酒工場を襲われ、大きな痛手を被ります。

一方、売れないボクシング・プロモーターのバグジーは、歌手のブラウジーと恋仲になります。しかし、バグジーにちょっかいを出すタルーラの存在が、二人の関係に影を落とします。

ウソの密告電話によって多くの部下を失ったサムは、窮地に陥ります。ダンとの会談で絶体絶命の危機に瀕しますが、バグジーの機転によって命拾いします。200ドルの報酬を得たバグジーは、ブラウジーとハリウッドに行くことを約束しますが、すぐにチンピラに襲われ、無一文になってしまいます。

その後、400ドルという大金を積まれ、ダン一派のマシンガン（パイ投げマシンガン）強奪を企てたバグジーは見事に成功します。

最終的には、サムの酒場でサム一派とダン一派による大決戦が勃発します。飛び交う漆喰まみれのパイの中、子供たちは大人を演じることを忘れ、無邪気な笑顔を取り戻します。このクライマックスシーンは、作品のテーマである、子供たちの純粋さや、ギャング映画という世界への皮肉を象徴的に表現しています。

スコット・バイオがバグジー・マロンを、ジョディ・フォスターがタルーラを、フローリー・ダガーがブラウジーを、そしてジョン・カッシージが太っちょサムを演じるなど、個性豊かな子供俳優たちの演技も見どころの一つです。日本語吹き替え版では、当時話題となった子役声優陣が起用されましたが、現在、権利元に音源が残っておらず、ソフト収録はされていません。

2003年には、出演した子供たちのその後を追ったドキュメンタリー番組『Bugsy Malone: After They Were Famous』が制作され、2004年にITVで放送されました。この番組は、映画に出演した子供たちが、大人になった後どのような人生を送っているのかを描き、映画をさらに深く理解する上で貴重な資料となっています。

『ダウンタウン物語』は、子供たちが演じるギャング映画という斬新なアイデアと、ユーモラスな演出、そして、子供たちの純粋さと大人社会への皮肉が絶妙に絡み合った、唯一無二の映画作品です。その独特の世界観は、今もなお多くの観客を魅了し続けています。

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