ダグラス DC-5

ダグラス DC-5 (Douglas DC-5)

ダグラス DC-5は、アメリカの航空機メーカーであるダグラス社によって開発されたレシプロ双発旅客機です。初飛行は1939年2月20日で、当時の航空機設計の中でいくつかの革新をもたらしました。特に、この機体は座席数が16席から22席と少なく、ダグラス社の他の機体とは一線を画す存在でした。また高翼構造を採用しており、三輪式機体が世界で初めての試みとして評価されています。

しかし、DC-5は有名なDCシリーズの中でも特に生産数が少なく、試作機のDC-1を除けば最も限られた数量で作られた機体です。もともとはDC-3やDC-4の後継機として開発され、需要が少ない特定のルートに対応するために設計されました。しかし、1940年に航空機が就航する頃には、第二次世界大戦の影響で多くの航空会社が発注をキャンセルし、ダグラス社も戦時生産体制に移行したため、DC-5の生産は少数にとどまりました。戦争終結後も、既にC-47が多く残っていたことから再製造されることはなく、DC-5の運命は短命に終わることになります。

生産とサービス

民間向けのDC-5は、試作機1機と4機の量産型が製造されました。その中で皮肉なことに、8席仕様の試作機は航空界の大物であるボーイング社の創業者、ウィリアム・E・ボーイングの個人用機材となりました。しかしこの機体も、戦争が始まるとアメリカ海軍に徴用されてしまいました。

最初に計画していた量産は、オランダのKLMオランダ航空への渡航が予定されていましたが、その後の戦争勃発により計画は頓挫。オランダ領東インドにあるオランダ領インド航空にて運用されることになりました。他にもペンシルバニア・セントラル航空から6機、コロンビア・ドイツ航空公社から2機の発注がありましたが、いずれもキャンセルの運びとなりました。

さらに大東亜戦争においては、オランダ軍の撤退に伴い日本軍が鹵獲した2機が現地で輸送機として利用され、日本本土に持ち帰られました。その後、羽田空港で戦利品として展示されることになりました。残りの2機はオーストラリアで運用され続け、1948年にはイスラエルに輸出されました。

アメリカ陸軍では「C-110」として、またアメリカ海軍では兵員輸送機の「R3D-1」として利用され、さらに空挺部隊用に「R3D-2」、ボーイングの自家用機は「R3D-3」としても知られています。

主なユーザー

ダグラスDC-5の主な利用者には、以下の航空会社や軍が含まれます。

• - KLMオランダ航空
• - オランダ領インド航空
• - オーストラリアン・ナショナル・エアウェイズ
• - 大日本帝国陸軍
• - オーストラリア空軍
• - イスラエル空軍
• - アメリカ陸軍
• - アメリカ海軍
• - ウィリアム・ボーイング

このように、ダグラスDC-5は少数生産の旅客機として特異な歴史を持っており、航空機ファンや歴史愛好家にとって重要な存在となっています。

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