ダグ・モー

ダグ・モー：バスケットボール界の異才

ダグラス・エドウィン・モー（Douglas Edwin Moe）は、1938年生まれのアメリカ合衆国の元プロバスケットボール選手、そして指導者です。196cmの身長を生かし、スモールフォワードとして活躍しました。

選手としてのキャリア

ニューヨークのブルックリンで育ったモーは、ノースカロライナ大学でその才能を開花させました。最終学年では平均20.4得点、14.0リバウンドという目覚ましい成績を残し、1961年のNBAドラフトでシカゴ・パッカーズから全体14位で指名されます。しかし、大学時代の八百長スキャンダルに関与した疑いをかけられ、NBAでのプレーを禁じられてしまいます。

失意の中、モーはイタリアのLBAでプロのキャリアをスタートさせ、1966年には得点王に輝きました。その後、1967年に創設間もないABAのニューオーリンズ・バッカニアーズに入団。ここから彼の輝かしいABAでの活躍が始まります。1年目から平均24.2得点（リーグ2位）を記録し、オールABA1stチームに選出。MVP投票でもコニー・ホーキンズに次ぐ2位となりました。チームはファイナルに進出しましたが、ホーキンズ擁するピッツバーグ・パイパーズに敗れました。

1968-69シーズンにはオークランド・オークスに移籍。平均19.0得点でオールABA2ndチームに選ばれました。オークスはリーグトップの60勝を記録し、ファイナルでインディアナ・ペイサーズを4勝1敗で下し、初優勝。モーはファイナルで平均21.0得点を挙げるなど、優勝に大きく貢献しました。カロライナ・クーガーズへの移籍を経て、1969-70シーズンには3年連続となるオールスターに選出。しかし、バージニア・スクワイアーズでプレーした後の2シーズンは怪我に苦しみ、1972年に現役を引退しました。

ABAでの通算成績は、378試合に出場、6,161得点、2,560リバウンド（平均16.3得点、6.8リバウンド）です。1997年には、ABAオールタイムチームに選出されています。

コーチとしての成功

現役引退後、モーは指導者の道へ進みます。ABAで4年間アシスタントコーチを経験した後、1976年のABAとNBAの合併に伴い、サンアントニオ・スパーズのヘッドコーチに就任。3年連続でチームをプレーオフに導き、1979年にはカンファレンス決勝に進出しました。

1980-81シーズンにはデンバー・ナゲッツのアシスタントコーチに就任し、シーズン途中にヘッドコーチに昇格。翌年から9年連続でチームをプレーオフに導き、1983年と1985年にはカンファレンス決勝に進出しました。1987-88シーズンには、当時の球団記録となる54勝を挙げ、最優秀コーチ賞を受賞。1990年にナゲッツを退任した後、1992年にはフィラデルフィア・76ersのヘッドコーチに就任しましたが、成績不振のためシーズン途中で解任されました。

NBAでのコーチとしての通算成績は、628勝529敗（勝率.543）。全試合を指揮した12シーズン全てでプレーオフ進出を果たしています。モーは、アップテンポなゲームを展開するコーチングスタイルで知られ、ナゲッツ在任中は平均得点で6度もリーグ1位となりました。

2002年には、ナゲッツでのヘッドコーチとしての432勝を記念して、『432』がナゲッツの永久欠番に指定されました。2018年には、チャック・デイリー生涯功労賞を受賞しています。

ダグ・モーは、選手として、そしてコーチとして、バスケットボール界に大きな足跡を残した人物です。彼の革新的な戦術と情熱は、多くの人々に影響を与え続けています。

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