ダチア・ダスター

ダチア・ダスター：世界を駆け巡る低価格SUV

ダチア・ダスターは、フランスの自動車メーカー、ルノー傘下のルーマニアの自動車メーカー、ダチアが製造・販売するクロスオーバーSUVです。その魅力は、低価格でありながら高い実用性と走破性を両立している点にあります。

グローバル展開と多様なバリエーション

ルノーグループの低価格世界戦略車種として開発されたダスターは、ヨーロッパだけでなく、ロシア、ウクライナ、インド、ブラジル、コロンビアなど世界各国で販売されています。地域によっては、ルノー・ダスターとして販売され、エンブレムやグリルデザインが変更されている場合もあります。インド市場では、日産自動車が姉妹車としてテラノを発売しています。このグローバル展開は、ダスターの高い人気と市場ニーズの高さを示しています。

初代モデル：信頼性と実用性の融合

2010年に発売された初代ダスターは、日産のBプラットフォームをベースとしたB0プラットフォームを採用。1.6Lガソリンエンジンや1.5Lディーゼルエンジンが搭載され、環境性能にも配慮したモデルもラインナップされました。4WDシステムは日産エクストレイルやルノーコレオスと同じオールモード4×4-iを採用し、悪路走破性を高めています。ボディサイズは全長4,310mm、全幅1,820mmとコンパクトながらも、最低地上高200mm以上、アプローチアングル30度、ディパーチャーアングル35度以上を確保。475Lの荷室容量は、リアシートを折り畳むことで最大1,600Lに拡大可能です。ルーマニア、ブラジル、コロンビア、インド、ロシアの工場で生産され、世界中のお客様に提供されました。発売から数年後には、ルノー・ダチアの中で最も多く販売されたモデルとなりました。また、ロシア、ブラジル、インド仕様のルノー・キャプチャーはダスターをベースに開発されました。

各国での成功

ダスターは世界各国で高い人気を博しました。ブラジルでは警察車両にも採用され、インドでは発売開始から短期間でSUVセグメントのベストセラーに。ロシアでも高い人気を誇り、モスクワ工場での生産台数が10万台を突破しました。ダチアブランドにとって、イギリスとアイルランドへの進出第一弾車種となり、予約販売も好調でした。

2代目と3代目モデル：進化を続けるダスター

2018年には、プラットフォームを継承しつつもデザインや機能を刷新した2代目モデルが登場。更なる進化を遂げた2代目モデルも高い評価を受けました。2023年には3代目モデルが発表され、パワーユニットはガソリン・ターボとガソリン・ハイブリッドエンジンのみとなり、ディーゼルエンジンは廃止されました。南米やオセアニア市場では引き続きルノー・ダスターとして販売されています。

モータースポーツへの挑戦

ダスターは、市販車発表に先駆けて、氷上レース仕様が公開されました。元F1ドライバーのアラン・プロストを起用し、アンドロス・トロフィーに参戦。350PSにスープアップされた日産製のエンジンを搭載したレース仕様車は、高いポテンシャルを示しました。プロストは総合優勝こそ逃しましたが2位を獲得、ダスターのポテンシャルの高さを証明しました。

ダスターの遺産

ダチア・ダスターは、その高いコストパフォーマンスと世界的な人気により、自動車業界に大きな足跡を残しました。低価格車市場における成功事例として、多くの自動車メーカーにとって重要な参考資料となっています。ダスターをベースとしたピックアップトラック「ルノー・ダスターオロチ」や、ミニカーブランドのマジョレットによるミニチュアモデルなども存在し、その影響力は多岐に渡ります。ダスターは、これからも世界中の道路を走り続けるでしょう。

もう一度検索