ダナ・ファーバー癌研究所

ダナ・ファーバー癌研究所

ダナ・ファーバー癌研究所（英語: Dana-Farber Cancer Institute, DFCI）は、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストンの学術医療エリア、ロングウッドに位置する、癌専門の国際的な研究・治療機関です。ハーバード大学医学部の主要関連病院の一つであり、米国国立癌研究所（NCI）から指定を受けた、全米でも有数の癌センターとして知られています。2012年にはUSニューズ&ワールド・レポート誌により、米国内で第5位の癌治療病院にランク付けされました。

組織と規模

ダナ・ファーバー癌研究所は、約3,680人ものスタッフが勤務しており、年間8億ドルを超える運営収入を誇ります。年間外来患者数は成人・小児合わせて299,202人以上にのぼり、その中には700人以上の臨床試験参加者が含まれています。多発性骨髄腫研究共同体の一員としても活動しています。

歴史

研究所の起源は、1947年に小児科医シドニー・ファーバー博士が設立した小児癌研究所にあります。当初は小児癌を専門としていましたが、1969年には対象を成人癌患者にも拡大しました。1974年には設立者であるファーバー博士に敬意を表し、「シドニー・ファーバー癌研究所」と改称。その後、1983年には長年にわたり支援を提供してきたチャールズ・A・ダナ財団への謝意を示す形で、「ダナ・ファーバー癌研究所」として新たな名称となりました。

研究と医療の進展

ダナ・ファーバー癌研究所は、癌治療と研究分野において重要な貢献を果たしてきました。特に、設立年の1947年には、シドニー・ファーバー博士率いるチームが、小児急性リンパ性白血病に対する治療薬としてアミノプテリンを使用し、世界で初めて病状の一時的寛解（病気の進行が抑えられる状態）に成功したことは、癌化学療法の歴史における画期的な出来事でした。

現在、成人癌治療においては、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院と提携し、ダナ・ファーバー/ブリガム・アンド・ウィメンズ癌センター（DF/BWCC）を運営しています。ダナ・ファーバーが外来診療を担当し、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院が入院治療を提供することで、連携したケアを実現しています。

また、小児癌治療に関しては、60年以上にわたりボストン小児病院との強力な連携を維持しており、ダナ・ファーバー小児病院癌センター（DF/CHCC）として、専門的な治療にあたっています。

資金と支援

研究所の活動は、米国国立癌研究所や米国国立アレルギー・感染症研究所といった公的機関からの資金提供に加え、多数の個人投資家からの寄付によって支えられています。中でも、主要なチャリティ基金である「ジミーファンド」は、研究所にとって不可欠な支援源です。ジミーファンドは1948年に、ボストンの病院で白血病と闘っていた一人の子供「ジミー」の名にちなんで設立されました。ボストン・レッドソックス球団は、1953年以来、このジミーファンドを公式チャリティとして支援し続け、ダナ・ファーバー癌研究所の活動を長年にわたり支えています。こうした多方面からの支援が、研究所の先進的な研究と治療を可能にしています。

ダナ・ファーバー癌研究所は、癌との闘いにおける最前線で、基礎研究から臨床応用、そして患者ケアに至るまで、包括的なアプローチを通じて国際的なリーダーシップを発揮し続けています。

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