ダブルタップ

香港を舞台にした射撃の名手と刑事たちの攻防

2000年に公開された香港映画『ダブルタップ』（原題：鎗王、英題：Double Tap）は、レスリー・チャン主演によるクライムアクション作品です。高い評価を受け、2010年には続編『トリプルタップ』が公開されるほどの人気作となりました。

本作の主人公は、リックというピストル射撃の名手。彼は「ダブルタップ」と呼ばれる、2発の弾丸を同じ位置に命中させる驚異的な射撃技術の持ち主として知られていました。かつては射撃大会で活躍していましたが、現在は競技用拳銃の改造を営み、静かに暮らしています。しかし、ある出来事をきっかけに、再び射撃大会への出場を決意。決勝戦まで勝ち上がりますが、そこで待ち受けていたのは、香港警察屈指の腕を持つ特捜刑事ミウでした。

決勝戦は緊迫した展開となります。リックとミウの手に汗握る射撃対決が繰り広げられる中、予期せぬ事態が発生します。ミウの同僚刑事であるユーが、株取引の失敗による自暴自棄から銃を乱射し始めたのです。ミウが躊躇する瞬間、リックは素早くユーの頭を撃ち抜き、危険を回避します。

この事件から3年後、新たな事件が発生します。ホテルの一室で、汚職事件の証人と護衛の刑事3人の遺体が発見されたのです。現場に残された弾痕から、犯人がダブルタップの技術を用いた高度な射撃技術を持つことが判明。そして、その容疑者として、リックの名が浮上します。

映画は、リックの卓越した射撃技術と、彼を取り巻く複雑な人間関係、そして陰謀を巧みに織り交ぜながら物語が展開していきます。レスリー・チャン演じるリックのカリスマ性と、アレックス・フォン演じるミウとの対比が、作品に深みを与えています。豪華キャスト陣も魅力の一つです。他に、ルビー・ウォン、モニカ・チャン、ヴィンセント・コク、フォン・ピン、アレクサンダー・チャンなどが脇を固め、それぞれのキャラクターが物語に重要な役割を果たしています。

監督はロー・チーリョン、音楽はピーター・カムが担当。脚本にはロー・チーリョン、ヤン・シンリン、ヤン・チンハン、クラレンス・リーと複数の作家が参加し、練り上げられたストーリーとなっています。製作はジョー・チェン、原案・制作はイー・トンシンが務めました。

『ダブルタップ』は、スリリングな銃撃戦と、予想外の展開が続く重厚なストーリーが魅力の作品です。レスリー・チャンの代表作の一つとして、香港映画ファンだけでなく、アクション映画ファンにも広く知られています。また、本作は、続編『トリプルタップ』や、アレックス・フォン演じるミウが登場する『ワンナイト・イン・モンコック』など、関連作品も多く存在しており、シリーズ作品として楽しむことも可能です。香港映画特有の独特な雰囲気と、高度なアクションシーンは必見です。レスリー・チャンら豪華キャストの演技にも注目です。

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