ダブルチーム (映画)

『ダブルチーム』：愛する妻を取り戻すため、元CIAエージェントが立ち上がる

1997年公開のアメリカ映画『ダブルチーム』は、元CIAエージェントの壮絶な戦いを描いたアクション大作です。タイトルにもなっている「ダブルチーム」とはバスケットボール用語で、本作では、主人公が複数の敵に同時に立ち向かう様を象徴的に表現しています。

南フランスで穏やかな日々を送っていた元CIAエージェント、ジャック・クイン。しかし、テロリスト、スタヴロスが再び暗躍を始めたことで、彼の平穏な生活は一変します。元同僚からの要請を受け、現役復帰を決意したジャックは、アントワープの武器商人ヤズから武器を調達し、スタヴロスの逮捕作戦に臨みます。

作戦は遊園地を舞台に展開されました。しかし、ジャックはスタヴロスを狙撃しようとしたまさにその時、彼の妻と幼い息子がそこにいることに気づきます。作戦を中断し、スタヴロスに隙を与えてしまったジャックは、激しい銃撃戦を繰り広げることになります。その結果、流れ弾がスタヴロスの家族を奪ってしまうという悲劇的な事態を引き起こしてしまいます。ジャック自身も重傷を負い、作戦は失敗に終わりました。

責任を問われたジャックは、失敗したエージェントを収容する秘密の島「コロニー」へ送られます。数ヶ月後、愛する妻に会うため脱出を試みるジャックでしたが、そこで衝撃の事実を突きつけられます。彼の妻キャサリンがスタヴロスに誘拐されていたのです。

絶望的な状況の中、ジャックは武器商人ヤズと共に、愛する妻を取り戻すため、スタヴロスへの報復を開始します。ヤズは、派手な外見とは裏腹に冷静沈着な人物で、武器の扱いに長け、格闘術にも精通しています。彼の独特のキャラクターと、ジャックとの奇妙なタッグが、物語にスパイスを加えています。一方、スタヴロスは冷酷非情なテロリストとして描かれており、ジャックと激しい戦闘を繰り広げます。

物語は、ジャックとスタヴロス、そしてヤズの三者を中心に展開します。ジャックは、テロ活動の阻止に特化したプロのエージェントで、高い戦闘能力と任務遂行能力を有しています。1959年生まれで、22歳で外務職員局に入局した経歴を持つ彼は、過去に数々の成功を収めてきたベテランです。

一方、キャサリンはジャックの妻であり、彫刻家として活動しています。妊娠中である彼女は、夫の仕事に理解を示しながらも、彼の危険な任務を案じています。物語の終盤では、彼女が出産するシーンも描かれています。

本作には、その他にも個性豊かなキャラクターが登場します。6年前に死亡したとされていた工作員、ゴールドスミスや、キャサリンの友人、マリアなどが、物語に深みを与えています。また、バスケットボール選手として有名なデニス・ロッドマンがヤズ役を演じており、彼のセリフにはバスケ用語が多く含まれている点が特徴的です。劇中ではバスケットボール型の落下傘が登場するなど、バスケットボールをモチーフにした演出も散りばめられています。

『ダブルチーム』は、緊迫感あふれるアクションシーンと、予測不能なストーリー展開で観客を魅了する、見応えのあるアクション映画です。個性的なキャラクターたち、そして、愛する妻を取り戻すためのジャックの執念が、最後まで見逃せない作品となっています。また、コカ・コーラがスポンサーとして参加しているため、劇中では多くのコカ・コーラの自販機や缶が登場するなど、細かい点にも注目です。監督はツイ・ハーク、製作はモシュ・ディアマント、脚本はドン・ジャコビーとポール・モネス、撮影はピーター・パウ、音楽はゲイリー・チャン、アクション監督はサモ・ハン・キンポーとシャン・シンシンが務めています。さらに、第18回ゴールデンラズベリー賞では、デニス・ロッドマンが最低助演男優賞、最低スクリーンカップル賞、最低新人賞を受賞しています。

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