ダブルチーム (映画)

『ダブルチーム』（Double Team）

1997年にアメリカで製作されたアクション映画。香港映画界の巨匠ツイ・ハークが監督を務め、主演はジャン＝クロード・ヴァン・ダムと元プロバスケットボール選手のデニス・ロッドマンが務めました。タイトルは、バスケットボールにおいて複数人で一人の選手をマークする戦術「ダブルチーム」に由来しています。

物語の中心となるのは、かつてCIAの敏腕エージェントとして活躍し、現在は引退して南フランスで妊娠中の妻キャサリンと静かに暮らしていたジャック・クインです。しかし、冷酷なテロリスト、スタヴロスが再び動き出したことから、ジャックはCIAの説得を受け、危険が伴う任務への復帰を決意します。

復帰後、ジャックに課せられた任務は、武器商人ヤズの協力を得て、アントワープで開催される武器取引の場でスタヴロスを拘束することでした。計画通りスタヴロスが遊園地に現れますが、そこには彼の妻と幼い息子が同伴していました。彼らが家族との穏やかな時間を過ごす姿を目にしたジャックは、狙撃命令を出すことを一瞬ためらってしまいます。このわずかな隙にスタヴロスは計画に気づき、遊園地は突如、激しい銃撃戦の場と化します。戦闘の中で悲劇的な流れ弾がスタヴロスの妻子を奪い、スタヴロス自身は逃亡。ジャックも重傷を負い、作戦は無残な失敗に終わります。この痛恨のミスにより、ジャックは失敗した工作員が隔離される極秘施設「コロニー」へ強制的に送還されてしまいます。

数ヶ月後、愛する妻に会いたい一心で「コロニー」からの脱出を果たしたジャックですが、そこで彼は衝撃的な現実を突きつけられます。なんと、妻のキャサリンがスタヴロスによって誘拐されていたのです。妻と家族を奪われたスタヴロスによる、ジャックへの恐るべき報復でした。ジャックは、かつて任務で協力した個性的な武器商人ヤズと共に、誘拐された妻を救出することを固く誓います。

主要な登場人物には、冷静沈着でありながらも派手なファッションを好む武器商人ヤズ（デニス・ロッドマン）がおり、彼は兵器の扱いに長け、格闘術にも心得があります。また、妻子を失ったことでジャックへの復讐心を燃やすテロリストのスタヴロス（ミッキー・ローク）は、犯罪者としての冷酷さの中に、誘拐した妊娠中のキャサリンに対して一定の配慮を見せるという一面も持ち合わせています。ジャックの妻キャサリン（ナターシャ・リンディンガー）は彫刻家であり、夫の仕事への理解を示す人物として描かれます。

スタッフには、『男たちの挽歌』などで知られるツイ・ハーク監督のほか、アクション監督としてサモ・ハン・キンポーとシャン・シンシンが参加しており、迫力のあるアクションシーンが展開されます。撮影はピーター・パウが担当しました。

本作には、ヤズを演じたデニス・ロッドマンが著名なバスケットボール選手であったことから、バスケットボールに関連する要素が随所に盛り込まれています。例えば、ヤズのセリフにバスケ用語が含まれたり、バスケットボール型のパラシュートが登場したりする場面があります。また、ザ コカ・コーラ カンパニーがスポンサーとして参加しており、劇中の様々なシーンでコカ・コーラ製品や自動販売機が登場するのも特徴の一つです。

公開後、本作は第18回ゴールデンラズベリー賞において、デニス・ロッドマンが最低助演男優賞、最低新人賞を受賞し、ロッドマンとジャン＝クロード・ヴァン・ダムが最低スクリーンカップル賞を受賞するなど、ネガティブな評価を受けました。

壮絶な過去を持つ元工作員が、個人的な復讐に燃えるテロリストから愛する家族を取り戻すため、異色の協力者と共に困難な戦いに挑む物語は、ハイスピードなアクションとユニークなキャラクター描写で観客を惹きつけます。

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