ダミル・ジュムール

ダミル・ジュムール：ボスニア・ヘルツェゴビナのテニス界を牽引する情熱的なプレーヤー

ダミル・ジュムール（Damir Džumhur）は、1992年5月20日、ボスニア・ヘルツェゴビナのサラエヴォで生まれました。紛争という困難な時代を生き抜き、プロテニス選手として輝かしいキャリアを築き上げています。右利きで両手バックハンドを持ち味とし、これまでにATPツアーシングルスで3度の優勝を果たしています。自己最高ランキングはシングルス23位、ダブルス117位。

幼少期とプロへの道

ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争中の軍事病院で生まれたジュムールは、5歳から父親の指導のもとテニスを始めました。当初はサッカーでも才能を発揮しましたが、最終的にテニスを選び、プロを目指すことを決意。7歳の時、紛争で破壊されたオリンピックアリーナ跡地に作られた練習場で、本格的にトレーニングを重ねました。憧れの選手はパトリック・ラフターとロジャー・フェデラー。

母国語に加え英語も堪能で、サラエボ大学では政治学を専攻していました。勉学とテニスの両立は、彼の知性と人間性を育む上で大きな影響を与えたと言えるでしょう。

プロとしてのキャリア

2011年にプロ転向後、ジュムールは着実に実績を積み重ねていきます。2014年全豪オープンでは予選を勝ち抜き、グランドスラム本戦に初出場。3回戦まで進出しました。2016年リオデジャネイロオリンピックにも出場を果たしました。

2017年：躍進の年

2017年はジュムールにとって飛躍の年となりました。8月のウィンストン・セーラム・オープンでツアー初の決勝進出。9月のサンクトペテルブルク・オープンでは、決勝でファビオ・フォニーニを破り、ATPツアー初優勝を飾りました。この優勝により、ランキングは40位となり、トップ50入りを果たします。さらに、10月のクレムリン・カップでも優勝し、年間2勝を挙げました。

2018年：トップ25入り

2018年6月、アンタルヤ・オープンでアドリアン・マナリノを下し、ツアー3勝目を獲得。7月には自己最高となる23位を記録しました。

プレースタイルと人物像

ジュムールのプレースタイルは、粘り強いストロークと機敏なフットワークが特徴です。特にクレーコートを得意とし、相手を揺さぶるようなプレーでポイントを重ねます。また、試合中の情熱的な姿勢も彼の魅力の一つです。

エピソード

2021年3月のメキシコ・オープン予選での出来事は、ジュムールの情熱的な一面を象徴するエピソードと言えるでしょう。判定を巡り主審に猛抗議した結果、ポイントペナルティを受け、最終的には試合を棄権。この件でATPから罰金と大会賞金の剥奪処分を受けました。しかし、ジュムールは自ら棄権したと主張し、暴言も否定するなど、自身の立場を明確にしました。

今後の活躍

ダミル・ジュムールは、ボスニア・ヘルツェゴビナのテニス界を牽引する存在として、これからも更なる活躍が期待されています。彼の情熱的なプレーと、困難を乗り越えてきた不屈の精神は、多くのファンに感動と勇気を与え続けるでしょう。

ATPツアー決勝進出結果

シングルス: 4回 (3勝1敗)
ダブルス: 1回 (0勝1敗)

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