ダリル・ステューマー

ダリル・ステューマー：音楽の道を切り開いたギタリスト

ダリル・ステューマー（Daryl Stuermer）は、アメリカ合衆国出身の卓越したミュージシャンであり、その才能はギター、ベース、作曲、そして音楽プロデュースの分野で輝きを放っています。特に、彼はジェネシスのライブ・パフォーマンスにおけるギターとベースの演奏、そしてフィル・コリンズのソロ・ツアーやアルバムでのリード・ギター担当として広く知られています。ステューマーは、自身のバンドを率いてツアーを行う傍ら、10枚ものソロ・アルバムを発表し、多岐にわたる音楽性を展開しています。

若き日の音楽との出会い

1952年11月27日、ウィスコンシン州ミルウォーキーで生まれたステューマーは、2歳年上の兄ドウェインの影響を受け、幼い頃からエルヴィス・プレスリーやレイ・チャールズの音楽に親しみました。インストゥルメンタル・ロック・バンド、ザ・ベンチャーズに魅了された彼は、11歳でギターを始め、4年後にはジャズ・ギターに転向。1970年には、セントフランシス高校を卒業しました。

プロとしてのキャリア

1970年代初頭、ステューマーはミルウォーキーを拠点とするジャズ・ロック・バンド「Sweetbottom」を結成し、地元のライブハウスで精力的に活動しました。1975年、Sweetbottomのライブを見たキーボード奏者のジョージ・デュークは、ジャン＝リュック・ポンティにステューマーを紹介。オーディションを経て、ステューマーはポンティのバンドに正式加入し、1975年から1977年の間にリリースされた3枚のアルバムでその才能を発揮しました。また、デュークのソロ・アルバムにも参加するなど、幅広い音楽活動を展開しました。

ジェネシスへの参加

1977年後半、ステューマーは友人のアルフォンソ・ジョンソンの推薦により、ジェネシスのライブ・パフォーマンスをサポートすることになりました。当初、ジェネシスについてほとんど知識がなかったステューマーでしたが、ドラマーのチェスター・トンプソンとの出会いが、オーディションへの参加を後押ししました。1978年初頭にニューヨークで行われたオーディションに見事合格し、1978年から1992年まで、リード・ギタリストおよびベーシストとしてバンドに貢献。2007年の「Turn It On Againツアー」にも再参加を果たしました。

フィル・コリンズとの共演

1979年のジェネシスの活動休止期間中、ステューマーは歌手のジノ・ヴァネリのツアーに参加し、彼のアルバムをサポートしました。1981年からは、フィル・コリンズのソロ・キャリアにおけるリード・ギタリストとして活動し、「ワン・モア・ナイト」のミュージック・ビデオにも出演。「パーマネント・テンポラリー・パートタイム・メンバー」から、コリンズの新しいグループの「パーマネント・ツアーリング・レコーディング・メンバー」へと移行しました。ステューマーは、コリンズの楽曲の作曲にも携わり、アルバム『フィル・コリンズIII』収録の「I Don't Wanna Know」などでその才能を発揮しています。

ソロ・キャリア

1987年、ステューマーはデビュー・ソロ・アルバム『ステッピン・アウト』をリリース。ロック・インストゥルメンタル・アルバムとして制作され、その後も『Live and Learn』『Another Side of Genesis』など、数々のソロ・アルバムを発表しました。2002年には、ライブ・アルバム『Sweetbottom Live the Reunion』をリリース。2007年には、アルバム『GO』を発表し、アルフォンソ・ジョンソンなど、豪華ゲストを迎えて制作されました。ステューマーは現在、「ダリル・ステューマー＝シンフォニー・コンサート」と題したプロジェクトを展開し、初期ジェネシスの楽曲やソロ・キャリアのインストゥルメンタルを再現しています。

使用楽器

ステューマーは、フィル・コリンズとの活動において、フェンダー・ストラトキャスターを愛用。トリノ・レッドのエリック・クラプトン・ストラトキャスターや、3トーン・サンバースト・アメリカン・スタンダード・ストラトキャスターを主に使用しました。また、ギブソンのRDアーティスト・ベースや、SUNTECHモデルのギター、ゴダンLGXT・エレクトリックギターなど、様々な楽器を演奏しています。

ディスコグラフィー

ソロ・アルバム

ステッピン・アウト (1987年)
Live & Learn (1998年)
Another Side of Genesis (2000年)
Waiting in the Wings (2001年)
Sweetbottom Live the Reunion (2003年)
Retrofit (2004年)
The Nylon String Sampler (2005年)
Rewired – The Electric Collection (2006年)
GO! (2007年)
Jimmy the Greek Lives (2009年)
Breaking Cover (2016年)

参加アルバム

ジャン＝リュック・ポンティ：極光 (1976年), 桃源への旅立ち (1976年), 秘なる海 (1977年)
ジョージ・デューク：I Love The Blues She Heard My Cry (1975年), Liberated Fantasies (1976年)
フィル・コリンズ：夜の囁き (1981年), フィル・コリンズ 2:心の扉 (1982年), フィル・コリンズIII (1985年)
* ジェネシス：スリー・サイズ・ライヴ (1982年), ライヴ・オーヴァー・ヨーロッパ 2007 (2007年)

ダリル・ステューマーは、その卓越した音楽性と多才な才能で、数多くのアーティストとの共演やソロ活動を通じて、音楽史にその名を刻んでいます。

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