ダンス・ウィズ・ウルブズ

ダンス・ウィズ・ウルブズ

『ダンス・ウィズ・ウルブズ』（原題：Dances with Wolves）は、1990年に公開されたアメリカの映画で、ケビン・コスナーが監督、主演、製作を務めました。本作は、第63回アカデミー賞の作品賞をはじめ、数々の映画賞を受賞した名作です。この映画は、従来の西部劇とは一線を画す内容が評価され、特に先住民族に対する新しい視点を提供しました。

物語の背景とテーマ

物語は1861年からの南北戦争を舞台に、北軍の中尉ジョン・ダンバーがスー族インディアンとの関わりを深めていく様子を描いています。映画は、先住民族に対する白人社会の圧倒的優位や、バッファローの絶滅の危機をテーマにしており、自由と郷愁、そして先住民族との理解を求めるメッセージが込められています。その中で、ダンバーはスー族と交流し、心の深い絆を築いていきます。

特に「インディアンたちが彼らの言語で話す」という新たな試みや、「タタンカ（バッファロー）」という言葉の普及により、先住民族に対する理解が進むきっかけを提供しました。この映画は、そうしたステレオタイプを打ち破る試みが高く評価されました。

制作の経緯

原作はマイケル・ブレイクの小説で、出版当初は様々な抵抗にあいましたが、コスナーの熱意により映画化が実現しました。彼は自身の資産をもとに制作を進め、1989年7月には撮影が始まりました。映画の撮影はほとんどがサウスダコタ州で行われ、壮大な風景が観客を魅了します。また、作品中での言語表現には、男女語の違いの誤解があったものの、ラコタ語を字幕付きで使用するなど、本作は真摯に先住民族を描こうとした姿勢が見られます。

映画の内容

物語は、南北戦争の激戦地で重傷を負ったダンバーが、その後自由を求めて赴任先のセッジウィック砦で自給自足の生活を始めるところから始まります。彼は、スー族との接触を求める一方で、彼らとの友好関係を築いていきます。その中で出会った青い目の女性が「拳を握って立つ女」であり、彼女を通してスー族と深い絆を結びます。

ダンバーはスー族の生活に徐々に溶け込んでいき、特に狩りの儀式に参加したことで、自らのアイデンティティを再確認します。また、彼はスー族に愛を捧げ、友好を深めながら、最終的には彼らの一員として受け入れられることになります。しかし、彼を取り巻く状況は厳しく、白人軍の攻撃が迫る中で、ダンバーはスー族との別れを余儀なくされます。

評価と影響

『ダンス・ウィズ・ウルブズ』は、公開当初から評判を呼び、興行収入も上々で、アメリカ国内外で控えめに言っても大ヒットを記録しました。特にアメリカでの記録的興行収入は、それまでの西部劇映画の枠を超えて、多くの観客に支持されました。その結果、映画は多くの賞を受賞し、コスナーは自身の才能を世に知らしめる作品となりました。さらに、アメリカインディアンに対する偏見の打破に寄与することとなり、その後の作品に大きな影響を与えています。

結論

この作品は、ただの西部劇ではなく、深いメッセージを持った作品であり、観客にとって美しい映像とともに、重要な歴史的背景を考えさせる内容となっています。アメリカ文化における白人とインディアンの関係を見直す機会を与える作品として、今後も語り継がれることでしょう。

もう一度検索