ダントン (映画)

映画『ダントン』の魅力

1983年に公開された『ダントン』は、フランスとポーランドの合作による伝記映画です。この作品は、フランス革命の主要人物であるジョルジュ・ダントンとマクシミリアン・ロベスピエールの激しい対立を中心に、彼らが辿る運命を描いています。本作はポーランドの作家スタニスワヴァ・プシビシェフスカによる1929年の戯曲『ダントン事件』を原作にしています。

ストーリーの概要

物語は1794年、フランス革命の渦中で展開されます。ロベスピエールが主導する公安委員会は、恐怖政治を強化し、ダントンを抑圧しようとします。この状況に対抗するため、ダントンはパリに戻り、ロベスピエールとの交渉を試みます。しかし、ダントンは公安委員会の独裁的な性質に反発し、対話には消極的です。ロベスピエールはダントン逮捕の決断を下し、彼の排除を図ります。

ダントン粛清の計画は進行し、ロベスピエールは他のメンバーの要求を最初は拒否しますが、最終的にはその運命を黙認する形となります。裁判が進む中、ダントンは自らの運命を受け入れなければならない状況に追い込まれ、最終的にギロチン台に立たされることになります。このシーンでは、彼の潔い覚悟と、人権宣言の理念への想いが交錯しています。

その日、ロベスピエールは公安委員会のメンバーと共に、ダントンが自らの信念に従って処刑される様子を目の当たりにします。彼は、ダントン粛清が人権宣言の精神に反する行為であることを内心悔やむのです。この瞬間が映画全体のテーマである、理想と現実の衝突を象徴しています。

映画の評価

『ダントン』は、スタンリー・キューブリックをはじめ多くの批評家から高く評価されています。特に時代考証の正確さや、主演のジェラール・ドパルデューの力強い演技が注目されました。ダントンを演じたドパルデューは、映画祭や賞において数々の栄誉を獲得しており、彼の存在感はこの作品に深みを与えています。

主な受賞歴

本作は、第37回英国アカデミー賞外国語映画賞を受賞し、第8回セザール賞では監督賞などの5部門にノミネートされるなど、多くの賞を獲得しました。さらに、ロンドン映画批評家協会賞やモントリオール世界映画祭でも受賞歴があり、特にドパルデューの演技は高く評価されています。違った視点から歴史を考察する本作は、観客に深い印象を与えることでしょう。

最後に

『ダントン』は、ジョルジュ・ダントンとロベスピエールの間に展開されるドラマを通じて、歴史の中での人間の複雑な感情や倫理を考えさせます。フランス革命という激動の時代に生きた2人の運命を追体験することで、観客は自らの価値観や信念についても思索を促されることでしょう。

もう一度検索