ダークレイン

「ダークレイン」（Dark Reign）は、マーベルコミックスが2008年から2009年にかけて展開したクロスオーバーストーリーです。この物語は、「シークレット・インベージョン」の結末を受け、ノーマン・オズボーンが権力を掌握した後のマーベル・ユニバースを描いています。タイトルが示すように、国家権力とその影響力を背景に、オズボーンの地位が確立されていく過程が中心となります。

出版の経緯

「ダークレイン」の物語は、2008年12月に発売されたワンショット作品『Secret Invasion: Dark Reign』から始まりました。脚本はブライアン・マイケル・ベンディス、作画はアレックス・マリーヴが担当しました。その後、2009年を通してマーベルは複数の独立したミニシリーズや、既存のオンゴーイングタイトルを通じてストーリーを展開しました。一部のオンゴーイングタイトルは、イベントとの関連性を強調するために一時的にタイトルが変更されました。

特筆すべき点として、「シークレット・インベージョン」のような主要なリミテッドシリーズは出版されませんでした。

物語の概要

スクラルによる地球侵略事件「シークレット・インベージョン」において、デッドプールはスクラルの女王を倒す方法を発見します。しかし、ニック・フューリーに情報を伝えようとした際、誤ってノーマン・オズボーンに伝達してしまい、女王はオズボーンによって殺害されます。この功績により、オズボーンはトニー・スタークに代わってS.H.I.E.L.D.の長官に就任し、新たにH.A.M.M.E.R.を設立します。

さらに、オズボーンはドクター・ドゥーム、エマ・フロスト、ネイモア、ロキ、フッドを召集し、「カバル」と呼ばれる秘密同盟を結成します。彼は自身の目的を達成するためにH.A.M.M.E.R.やカバルを利用しますが、その行動と悪評は、オズボーンの支配に抵抗し、彼の権力を奪おうとするヒーローやヴィランたちに影響を与えます。

主要な登場人物

ノーマン・オズボーン：かつてグリーン・ゴブリンとして知られた男であり、「ダークレイン」における中心人物です。ほとんどのオンゴーイングシリーズやミニシリーズに登場します。ブライアン・ベンディスは彼について「人々は彼が信用できない男だと知っているが、安全を保証してくれるので、それを無視している」と述べています。彼は公認のヒーローという新たな地位を脅かすものを排除しようとします。マット・フラクションは、アイアン・パトリオットとなった彼を「鎧の興行師」と評しました。また、カバルの不安定なメンバーをまとめるために、「秘密兵器」としてヴォイドを利用します。
フッド：『ニューアベンジャーズ』や『パニッシャー』における「ダークレイン」の展開で重要な役割を果たします。
ドクター・ドゥーム：カバルを利用して世界征服を企んでいます。ジョナサン・ヒックマンによる短編では、カバルのメンバーを皆殺しにするか、服従させる計画を立てていたことが明らかになりました。カバルへの参加を拒否した際には、瀕死のブラックパンサーを見せつけられます。最終的にオズボーンとの対立が表面化し、カバルを脱退します。
ロキ：オズボーンを利用してソーにオーディンの父親であるボルを殺させ、ソーを追放しようと企みます。その後、ドゥームの協力を得てアスガルドの玉座を奪う計画を実行に移します。しかし、Chthonの地球攻撃の際、ロキはスカーレット・ウィッチに化け、新生したマイティ・アベンジャーズに参加します。その後、オズボーンを操り、彼の精神を蝕んで失脚させようとします。
ネイモア：カバルでは比較的小さな役割を担い、主にマット・フラクションが脚本を手がけたタイトルに登場します。フラクションは彼を誇り高い戦士として描き、エマ・フロストとの親密な関係を描写しました。また、ダークX-メンの指導者の一人でもあります。「ユートピア」事件の際に、エマ・フロストと共に脱退します。
エマ・フロスト：ミュータントコミュニティがオズボーンによる新世界秩序の中で地位を確立することを望んでいます。マット・フラクションは、彼女がサイクロプスと関係を持ちながらも、互いに秘密を抱えていることに苦悩する姿を描いています。ネイモアと共にダークX-メンの指導者となりますが、後に2人はオズボーンを裏切り、ユートピアの建国に協力します。ダークアベンジャーズとの戦いでは、セントリーを弱体化させるためにテレパシー能力でヴォイドの精神を分離し、自身の中に閉じ込めます。
ビクトリア・ハンド：元S.H.I.E.L.D.の会計士であり、オズボーンによってH.A.M.M.E.R.の副長官に任命されます。

その他の情報

2009年11月時点で、以下に示すイシューが「ダークレイン」の一部として発表されています。

その後

ノーマン・オズボーンの支配とその終焉は、2010年1月に開始されたアスガルド侵攻とアベンジャーズ再結成を描く「シージ」へと繋がります。そして、「ヒロイック・エイジ」と呼ばれる新たな時代が幕を開けます。

参考文献

マーベル・コミックスの公式ウェブサイト

外部リンク

公式ウェブサイト（英語）
Dark Reign mini-site at IGN
Dark Reign - Comic Book DB
Dark Reign at comiXology

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