チェリー2000

チェリー2000 (映画)

概要

1986年に製作され、1988年に全米で公開されたアメリカ映画。原題は『Cherry 2000』。日本では劇場公開が見送られ、ビデオソフトとして初めて紹介されたSF冒険アクション作品です。ヒット作『ロボコップ』を手がけたオライオン映画が製作を担当し、翌年に公開されました。音楽も『ロボコップ』と同じくベイジル・ポールドゥリスが作曲・指揮を務めています。

『ロボコップ』がサイボーグの男性を主人公としていたのに対し、本作は女性型アンドロイドを題材の中心に据えています。テレビ東京で地上波放送された際には、『ラブアンドロイド・チェリー』という邦題が使用されました。物語の見どころの一つは、都会で平凡に暮らしていた主人公が、危険な旅を通して成長していく姿です。

ストーリー

舞台は荒廃した近未来、2017年のアメリカ、アナハイム。独身のサラリーマン、サムは、家事全般をこなし、夜の相手も務め、愛を囁いてくれる高性能な女性型ロボット、「チェリー2000」と共に小さな幸せを享受していました。しかし、ある日、彼のパートナーであるチェリー2000が致命的な故障に見舞われます。

幸いにも記憶チップは無事でしたが、ボディの修復は不可能でした。さらに、すでにチェリー2000型の生産は終了しており、新たなボディの入手は困難を極めます。セックス機能さえあれば良いとする風潮の中で、最新型のロボットには、サムがチェリーに見出していたような細やかな愛情表現機能は失われていました。

絶望するサムでしたが、かつてラスベガスだった荒野に存在する廃工場に、まだチェリー2000型のボディが残っているという情報を得ます。愛する「彼女」の記憶チップを手に、サムは危険な無法地帯と化した荒野への冒険を決意します。旅の途中、凄腕の女性用心棒“E”ことジョンスンと出会い、行動を共にしますが、二人の前に想像を絶する強敵が立ちはだかります。

製作・キャスト

本作はオライオン映画とERPプロダクションズによって製作されました。監督はスティーヴ・ディ・ジャーナットが務め、脚本はマイケル・アルメレイダ、ストーリーと製作総指揮はロイド・フォンヴィエールが担当しました。音楽はベイジル・ポールドゥリスが手がけ、ハンガリー国立歌劇場管弦楽団がオーケストラ演奏を担当しています。

主なキャストは以下の通りです。

サム・トレッドウェル：デイヴィッド・アンドリューズ
イーディス・“E”・ジョンスン：メラニー・グリフィス
チェリー2000：パメラ・ギドリー
その他、ティム・トマースン、ベン・ジョンスン、ハリー・ケイリー・ジュニア、ローレンス・フィッシュバーン、ブライオン・ジェイムズらが出演しています。

日本での展開とメディア化

日本では劇場未公開で、1988年 8月21日にVHSビデオソフトとしてアール・シー・エー・コロンビア・ピクチャーズ・ビデオから初リリースされました。その後、ベータ、レーザーディスク、DVDとメディアを変え、2015年 7月15日にはキングレコードよりBlu-rayとDVDが同時に発売されています。このBlu-ray/DVDは、『マッドマックス怒りのデス・ロード』の公開に合わせて発売されたものです。

地上波テレビでは、テレビ東京の「午後のロードショー」枠を中心に複数回放送されています。衛星放送やCSでもFOXMOVIESなどで放送実績があります。

サウンドトラック

ベイジル・ポールドゥリスによるオリジナル・サウンドトラックは、海外で何度かCD化されています。1987年にヴァレーズ・サラバンドから限定盤CDが発売されたほか、2000年にはプラティナム・ミュージックから限定24kゴールドディスク仕様の別作品とのカップリング盤が登場しました。現在最も入手しやすいのは、2004年にベルギーのプロメテウス・レコーズから発売された、同じポールドゥリス作曲の『ノーマンズ・ランド』とのカップリング盤CDです。この盤には、これまでの盤より多くの楽曲が収録された完全版に近い形で収録されています。

チェリー2000