チェルシー (菓子)

明治のロングセラーキャンディ「チェルシー」：半世紀の歴史と復活劇

1971年、明治製菓（現・明治）から発売されたキャンディ「チェルシー」は、日本のキャンディ史にその名を刻むロングセラー商品でした。2024年3月、惜しまれつつも販売を終了しましたが、同年9月には北海道限定で復活を果たしました。本稿では、「チェルシー」の誕生から販売終了、そして復活までの軌跡を詳細に辿ります。

スコッチキャンディ着想と革新的製法

「チェルシー」は、英国北部スコットランドのスカッチキャンディをヒントに開発されました。当時、日本では珍しかった「流し込み」製法を採用。これは、練り上げた原料を型に流し込む製法で、従来の製法では難しかった高配合のバターを使用することで、滑らかで濃厚な味わいを可能にしました。約3000ものネーミング案の中から選ばれた「チェルシー」という商品名は、英国ロンドンの地区名に由来しています。

多様なバリエーションと変わらぬ人気

発売以来、「チェルシー」は数々のバリエーションを展開してきました。代表的なフレーバーは「バタースカッチ」、「ヨーグルトスカッチ」、「コーヒースカッチ」など。これらに加え、アーモンドフレーバーなども登場し、消費者の多様な好みに応えてきました。また、チェルシーをベースにしたチョコレートやビスケットも販売され、幅広い商品群を形成していました。

テレビCMでは、外国人の少女が「チェルシーの唄」をBGMに「あなたにも、チェルシー、あげたい」と歌うCMが人気を博し、「チェルシー」の知名度向上に大きく貢献しました。2010年代には、川路ヨウセイデザインオフィスが手掛けたパッケージデザインも、親しみやすさと高級感を両立したデザインとして好評でした。

販売終了と復活劇

長きに渡り愛されてきた「チェルシー」でしたが、2024年3月、販売終了が発表されました。明治の広報部は、市場環境や顧客ニーズの変化による販売規模の低迷と収益性の悪化を理由として挙げています。ピーク時には25億円あった売り上げは、近年は5億円程度にまで減少していたと報道されています。

しかし、その歴史に幕を下ろすことはありませんでした。同年9月3日、明治子会社の道南食品より、北海道限定の土産商品として「北海道 生食感チェルシーバタースカッチ味」が発売されました。やわらかい食感に改良された本商品は、新千歳空港では先行発売され、北海道を代表する新たな銘菓として注目を集めています。

半世紀の歴史を刻んだ「チェルシー」

「チェルシー」は、革新的な製法と多様なフレーバー、そして印象的なCMによって、半世紀以上にわたり多くの人々を魅了し続けました。販売終了は多くのファンに衝撃を与えましたが、北海道限定での復活は、その人気と歴史が今後も受け継がれることを示しています。新たな「チェルシー」は、新たな時代を歩み始めることでしょう。 今後、どのような展開を見せるのか、注目が集まります。

もう一度検索