チカモリ遺跡

チカモリ遺跡：縄文時代の謎めく環状木柱列

チカモリ遺跡は、石川県金沢市新保本町に位置する縄文時代後期から晩期にかけての集落遺跡です。1987年には国の史跡として指定され、出土した木柱基部のうち57点が石川県指定有形文化財となっています。

遺跡の概要

犀川によって形成された扇状地に位置するこの遺跡は、豊富な地下水に恵まれており、木製品や植物遺存体といった有機物が良好な状態で保存されていました。1954年から数回にわたる発掘調査が行われ、1980年の調査で掘立柱の環状木柱列（ウッドサークル）が発見され、注目を集めました。

環状木柱列の謎

遺跡からは合計349点もの木柱の下部（柱根）が検出されています。中でも特筆すべきは、直径約60センチメートルから90センチメートルのクリ材を半分に割った、断面がカマボコ形の木柱を、切断面を外側に向けて直径約7メートルの環状に立て並べた環状木柱列です。木柱には運搬の際に便利なように目途孔や紐かけ溝が設けられています。通常の大型建物とは異なる構造であることから、その機能や用途については様々な説が提唱されていますが、現在もその全容は解明されていません。

環状木柱列は、北陸地方を中心に全国で十数カ所で見つかっており、石川県内では真脇遺跡でも同様の遺構が発見されています。富山県の桜町遺跡も環状木柱列で知られています。

史跡公園と金沢市埋蔵文化財収蔵庫

チカモリ遺跡は史跡公園として整備されており、環状木柱列が復元されています。隣接する金沢市埋蔵文化財収蔵庫では、遺跡から出土した貴重な遺物を展示しています。

金沢市埋蔵文化財収蔵庫

開館時間：9時30分〜16時30分
休館日：月曜日・年末年始
料金：無料
所在地：石川県金沢市新保本5丁目
アクセス：北鉄バス『新保本』バス停下車徒歩10分

まとめ

チカモリ遺跡は、縄文時代の集落の様子を今に伝える貴重な遺跡です。特に環状木柱列は、その用途や意味合いが未だ解明されていない点が、人々の想像力を掻き立てます。史跡公園として整備され、資料館も併設されているため、縄文時代の文化に触れることができるでしょう。

関連項目

縄文時代の遺跡一覧
中部地方の史跡一覧
大湯環状列石

外部リンク

* 金沢市立埋蔵文化財収蔵庫

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