チチコグサ

チチコグサ（父子草）

チチコグサ（学名：Gnaphalium japonicum）は、キク科ハハコグサ属に分類される多年草です。別名として「天青地白」とも呼ばれます。

特徴

チチコグサは、全体的に白い毛が密生しているのが特徴的な小柄な植物です。ただし、葉の表面は毛が少なく緑色に見える部分が多いです。

花がない時期は、地表に張り付くようにロゼット状に生育します。根出葉は線形で細長く、長さは2.5cmから10cm程度、先端は少し尖っています。葉の表面は緑色ですが、裏面は白い毛で覆われています。根元からは匍匐枝を横に伸ばし、その先端から新たな株を形成して増殖します。そのため、数本がまとまって生育している様子がよく見られます。

花期は春から秋にかけてで、ロゼットの中心から花茎が立ち上がります。花茎は分枝せずに直立し、高さは8cmから25cm程度、白い毛が密生しています。花茎には数枚の茎葉がついており、根出葉よりも小さく、上に行くほど小さくなります。

花茎の先端には、多数の頭花が集まって一つの塊を形成します。頭花は褐色で、へら状の総苞に包まれた楕円形の小さなもので、先端が少し尖っており、そこから小花が覗いています。小花はすべて管状花で、中心部には両性花、周辺部には雄性花があります。しかし、いずれの花も小さく目立ちません。頭花の集団の基部には、先の尖った線形の苞葉が3～4枚つき、放射状に広がるため、小さいながらも星形に見えます。苞葉も表面は緑色、裏面は白い毛で覆われています。

果実は痩果で、長さは約1mm、先端には3mm程度の綿毛があります。

生育環境と分布

チチコグサは、日当たりの良い、背の低い草原に生育します。草丈が低いため、他の草との競争を避け、裸地や芝生などでよく見られます。

日本全国に分布し、国外では朝鮮半島や中国にも分布しています。

人間との関わり

チチコグサは雑草として扱われますが、他の植物の生育を著しく阻害するほどではありません。畑で見かけることも少ないです。

分類

ハハコグサ属には、日本に帰化植物を含めて数種が存在しますが、チチコグサはその形態から容易に区別できます。特に、花茎の先端に頭花が一つにまとまり、その基部に苞葉があるという特徴は独特です。

名前が似ている植物として、チチコグサモドキ G. pensylvanicum がありますが、こちらは茎葉が発達しており、花序が葉腋から出るため、外観は大きく異なります。チチコグサモドキの方が雑草として繁殖力が高く、畑などでもよく見られます。

名前について

和名の「チチコグサ（父子草）」は、ハハコグサ（母子草）に対して名付けられました。ただし、ハハコグサの名前の由来には諸説あり、必ずしも「母子」を意味するわけではないため、この関係はやや複雑です。なぜ「父」なのかについては、明確な説はありません。植物の名前で父母や男女の関係が用いられる場合、一般的に男性側の方が大きいなどの特徴がありますが、チチコグサはハハコグサよりも小さいため、この例には当てはまりません。一説には、ハハコグサに比べて痩せて見えることが理由とされています。

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