チャールズ・スチュワート・パーネル

チャールズ・スチュワート・パーネル

チャールズ・スチュワート・パーネル（1846年6月27日 - 1891年10月6日）は、アイルランドの政治家であり、19世紀のアイルランドにおいて極めて重要な指導者の一人です。その影響力ゆえに「アイルランドの無冠の帝王」と呼ばれました。彼の肖像は1992年から発行されたアイルランドの100ポンド紙幣にも描かれています。

誕生と教育

パーネルはアイルランドのウィックロー県に生まれ、裕福な地主の家計に育ちました。父のジョン・ヘンリーは有力な土地所有者であり、母のデリアはアメリカ人で、著名な海軍提督チャールズ・ステュアートの娘です。彼の家系は英国王に近い関係にあります。パーネルはケンブリッジ大学モードリン・カレッジで学び、1874年にはウィックローの県長官に就任しました。その翌年、彼はミース県選出の連合王国下院議員として初めて議会に足を踏み入れ、アイルランドの自治を求める政党に所属しました。

アイルランド自治運動の先駆者

パーネルは下院での演説能力には限界がありましたが、彼は優れた指導者としてのスキルを発揮しました。1880年にはアイザック・バットとウィリアム・ショウに代わってアイルランド国民党の党首に選ばれました。そして、1882年には国民党をアイルランド議会党へと再編成しました。これはアイルランドにおける初めての近代的な政治組織で、議員候補者の選出を体系化し、党の方針が重視されるようになりました。

パーネルはアイルランドの議員を一つに纏め、自由党や保守党に対して自治拡大を求めました。特に、1886年には自由党のグラッドストン首相が初のアイルランド自治法を提案しましたが、内部の対立により成立には至りませんでした。パーネルは土地改革にも関心を持ち、彼の党内の過激派によってアイルランド土地連盟が結成され、土地法（土地を小作農に与える法律）が成立するきっかけとなりました。

ピゲット事件とスキャンダル

1887年、パーネルはイギリスの新聞「タイムズ」から、殺害されたアイルランドの大臣フレデリック・キャヴェンディッシュとの関与を示唆されました。この事件は彼の評判に大打撃を与えましたが、議会の審査によって疑惑は否定されました。後にこの手紙はパーネルに敵対的なジャーナリストの捏造であることが明らかになり、彼は名誉毀損で訴えた結果、新聞側は賠償金を支払うことになりました。

個人的な危機

その後パーネルは、アイルランドの英雄とされる一方で、彼の私生活が公然の秘密となりました。長年同僚の議員ウィリー・オシェアの妻、キャサリーンと共に暮らしていた彼は、3人の子供を持っていましたが、これが政敵の攻撃材料となりました。党内からの辞任要求が高まる中、パーネルは抵抗しましたが、ついには党が分裂し、彼の影響力は徐々に薄れていきました。

最期の時

党首を辞任したパーネルは、復権を目指して各地で遊説を行いました。1891年6月にはキャサリーンとの結婚に至り、カトリック教会はこの決定を非難しました。彼は体調を崩し、最終的にブライトンで亡くなりました。葬儀はダブリンのカトリック墓地にて行われ、その墓石には「PARNELL」という言葉のみが刻まれています。

文化への影響

パーネルの生涯は多くの文学や映画にも影響を与えました。ジェイムズ・ジョイスの短編や、ウィリアム・バトラー・イェイツの詩、さらには映画『恋の挽歌』など、多岐にわたります。彼の遺産は今でもアイルランドの歴史の中で重要な位置を占めています。

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