チュソヴァヤ川

チュソヴァヤ川：ウラルを彩る激流

チュソヴァヤ川は、ロシアのウラル山脈周辺、チェリャビンスク州、スヴェルドロフスク州、ペルミ地方を流れ、カマ川（ヴォルガ川水系）の左支流となる河川です。全長592km、流域面積は23,000平方kmに及びます。コミ＝ペルミャク語で「速い水」を意味する「チュスワ」がその名の由来です。

概要

凍結と融解

通常、10月末から12月初頭にかけて凍結し、4月中旬から5月初旬に氷が融けます。春の雪解け時期、具体的には4月中旬から6月中旬にかけて増水します。

主要な支流

主要な支流としては、メジェヴァヤ・ウトカ川、セレブリャンカ川、コイヴァ川、ウスヴァ川、レドヴァ川、リスヴァ川などがあります。特筆すべきは、支流の一つであるクミシュ川が、途中6kmにわたって地下を流れるという珍しい特徴を持つことです。

川沿いの都市

川沿いには、ペルヴォウラリスク（スヴェルドロフスク州）、ポレヴスコイ（同）、レヴダ（同）、チュソヴォイ（ペルミ地方）などの都市が点在し、チュソヴォイには河川港も存在します。

流れ

チュソヴァヤ川は、中部ウラル山脈の低い丘陵地帯に源を発します。水源はヴェルフニ・ウファレイ（チェリャビンスク州）の北東10kmに位置するマーロイェ・チュソヴスコエ・オゼロです。そこからウラル山脈の西麓を北西方向に流れ、スヴェルドロフスク州を経てペルミ地方へと至ります。

工業用水としての利用

チュソヴァヤ川の水は、工業用水として広く利用されています。特に、レヴダ上流のヴォルチヒンスキー貯水池およびヴェルフネイセツキー貯水池から用水路を通じて引かれる水は、ウラル地方有数の工業都市であるエカテリンブルクの工業活動を支えています。エカテリンブルクはウラル山脈東麓のイセチ川沿いに位置するため、この用水路はウラル山脈を越え、ヨーロッパ側（ヴォルガ川流域）からアジア側（オビ川流域）へと水を供給する重要な役割を果たしています。これらの貯水池は、エカテリンブルク市民の憩いの場としても親しまれています。

景観の変化

ペルヴォウラリスクからは、谷間が狭まり、川岸には険しい岩が目立つようになります。ペルミ地方に入りチュソヴォイ付近からは西へと流れを変え、川の谷間も川幅も広くなります。最終的には、ペルミ市のすぐ北で、カマ川の巨大なダム湖であるカマ湖へと合流します。チュソヴァヤ川の下流約90kmは、このダム湖によって大きな入江となっています。

歴史

チュソヴァヤ川は、川沿いに点在する巨岩でも知られています。20世紀初頭にセルゲイ・プロクジン＝ゴルスキーが撮影したカラー写真には、これらの岩が数多く記録されています。これらの岩の多くには名前が付けられていますが、春の増水時には航行の妨げとなる危険な岩も存在します。

シベリア征服の端緒

チュソヴァヤ川上流のウラル山脈は標高が低く、容易に山脈を越えることができます。1558年、豪商グレゴリー・ストロガノフは、カマ川からチュソヴァヤ川流域の広大な土地をツァーリから賜り、チュソヴァヤ川上流からウラル山脈東部へ向かう遠征隊を組織しました。これが、ロシア人によるシベリア征服の端緒となりました。

チュソヴァヤ川は、その急流と美しい景観、そして歴史的な背景から、今もなお多くの人々に愛され続けています。

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