チョコレート・デリンジャー

チョコレート・デリンジャー：常識をはるかに超えた探偵物語

吾妻ひでおによる漫画作品『チョコレート・デリンジャー』は、1980年6月号から1982年7月号にかけて『月刊プレイコミック』（秋田書店）で連載されました。全26話からなるこの作品は、型破りな探偵とその奇妙な助手が織りなす、予測不能でユーモラスな事件の数々を描いています。

主人公：チョコレート・サンデー

主人公のチョコレート・サンデー（通称チョコ）は、私立探偵「チョコレート・デリンジャー探偵事務所」の所長です。36連発のレミントンダブルバレルデリンジャーを愛用していますが、命中率は驚くほど低く、狙っていないものに当たることが多いという、独特の個性を持っています。

チョコは常識はずれで奔放な性格。猟奇殺人事件を好み、退屈な時は自ら事件を起こしてしまうことも。警察の捜査を妨害するような行動も多く、結果として警察の仕事を増やすばかりです。物語の序盤では皿漫田警察署を占拠して事務所として利用していましたが、後にマンションに事務所を移転します。

チョコの相棒：三蔵

チョコの助手である三蔵は、黒眼鏡をかけ、頭がつるっぱげで太った中年の怪人です。人間離れした能力を数多く持ち、いつも謎めいた行動をとっています。

家庭ではごく普通のサラリーマンとして生活し、妻と子供二人と暮らしています。しかし、時折奇行に走り、妻を困惑させることも。三蔵は、吾妻ひでおの他の作品にも登場するスター・システムキャラクターでもあります。

その他の登場人物

物語には、チョコと三蔵以外にも個性豊かなキャラクターが登場します。

砂苦刑事: 皿漫田警察の刑事。真面目な性格で、チョコと三蔵の奇行に振り回されています。しかし、内心ではチョコに好意を抱いている様子がうかがえます。
ハニー・甘納豆: チョコのライバルである私立探偵。マンションで隣同士の事務所を構え、チョコとよく衝突しますが、趣味や性格は非常に似ており、意気投合することもあります。
* しっぽがない: 何の脈絡もなく登場する、二本足で歩くトカゲのような生物。常に自分の切れた尻尾を探しています。

作者の評価と実写映画化

吾妻ひでお自身は、この作品について「意味判らん」「中身が濃いというより独り善がりで説明不足」「「起」のコマからいきなり「結」のコマに飛んでしまっていて 間の「承」「転」が抜けてしまってるんですな」と評しています。

2007年には、男の墓場プロダクションにより実写映画化が発表され、2017年に公開されました。松本さゆきがチョコレート・サンデー役を演じ、その他多くの個性的な俳優が脇を固めています。

まとめ

『チョコレート・デリンジャー』は、常識を覆すキャラクターと予測不能な展開、そして独特のユーモアが魅力の作品です。吾妻ひでお独特の世界観と、型破りな探偵たちの活躍は、読者に強烈な印象を与えます。混沌としたストーリー展開と、個性的な登場人物たちの織りなす物語は、一度読めば忘れられない、唯一無二の作品と言えるでしょう。単行本も複数版が出版されており、現在でも多くの読者から愛されています。

もう一度検索