チョーク・リバー研究所

チョーク・リバー研究所について

チョーク・リバー研究所（Chalk River Laboratories）は、カナダのオンタリオ州チョーク・リバー近郊に位置する、カナダを代表する原子力研究機関です。正式名称はチョーク・リバー核研究所（Chalk River Nuclear Laboratories）といいます。

歴史

研究所の歴史は、第二次世界大戦中の1942年にまで遡ります。当時、イギリスとカナダの研究者たちが協力し、カナダ国家研究会議（NRC）の管轄下で、モントリオール研究所が設立されました。これが、カナダにおける原子力研究の始まりです。

1944年、モントリオール研究所から独立する形で、チョーク・リバー研究所が開所しました。翌1945年には、アメリカ合衆国以外で初めてとなる核反応施設、重水試験炉ZEEP（Zero Energy Experimental Pile）が完成しました。これは、カナダの原子力研究における重要なマイルストーンとなりました。

1946年にはモントリオール研究所が閉鎖され、その機能はチョーク・リバー研究所に統合されました。そして1947年には、天然ウラン燃料を用いた本格的な重水研究炉であるNRX（National Research eXperimental）が稼働を開始しました。NRXは、その後のカナダの原子炉開発に大きな影響を与えました。

1952年、カナダは原子力平和利用を推進するため、カナダ原子力公社（AECL）を設立しました。これに伴い、チョーク・リバー研究所もNRCからAECLの管轄へと移管されました。

同年の12月12日、研究所の試験原子炉NRXにおいて、原子炉の暴走事故が発生しました。この事故は、燃料棒が溶融するという深刻なもので、後に国際原子力事象評価尺度レベル5と評価されました。

1950年代から2000年代にかけて、チョーク・リバー研究所には多くの核反応研究施設が建設され、医療用や科学実験用の放射性物質が生産されるようになりました。特に医療用放射性物質の生産においては、世界生産量の半分を担うほど重要な役割を果たしています。

また、研究所の近隣には、カナダ初の原子炉であるNuclear Power Demonstration (NPD)も建設されました。NPDは、カナダ独自の重水炉であるCANDU炉の原型となった原子炉です。

現在の活動

チョーク・リバー研究所は現在も、カナダにおける原子力研究の中核を担っており、以下のような幅広い分野で活動しています。

新型原子炉の開発
核燃料の研究
放射性廃棄物の管理
医療用放射性物質の生産
原子力安全の研究

まとめ

チョーク・リバー研究所は、カナダの原子力研究の歴史において、非常に重要な役割を果たしてきた研究機関です。その設立から現在に至るまで、原子炉の開発、放射性物質の生産、そして原子力安全の研究など、多岐にわたる分野で貢献してきました。特に医療用放射性物質の生産においては、世界有数の供給源として、多くの人々の健康に貢献しています。

関連項目

研究所

外部リンク

* Chalk River Laboratories

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