チーノはちのへ

チーノはちのへ：八戸の記憶と再開発

チーノはちのへは、かつて青森県八戸市十三日町に位置していたファッションビルです。長年、地域のランドマークとして親しまれてきましたが、再開発計画に伴い、その歴史に幕を閉じました。ここでは、チーノはちのへが歩んだ道のりと、その閉館後の再開発について詳しく見ていきましょう。

八戸スカイビルからチーノはちのへへ

チーノはちのへは、元々「八戸スカイビル」として1980年4月19日に開業しました。これは、県内初の市街地再開発ビルとして大きな期待を背負っていました。核テナントはイトーヨーカドー八戸店で、広大な売場面積を誇り、多くの買い物客で賑わいました。

しかし、1998年3月、郊外に「ピアドゥ」八戸沼館店がオープンすると状況は一変します。イトーヨーカドーは当初、八戸店の営業を継続する方針でしたが、不採算のため2003年2月23日に閉店。スカイビルの将来に暗雲が立ち込めました。

そこで、八戸スカイビルは新たな道を模索し、2003年9月12日、「チーノはちのへ」として再出発しました。このリニューアルの目玉となったのが、5階にオープンした「フォーラム八戸」です。

フォーラム八戸と市民の映画館

八戸市にはかつて7つの映画館がありましたが、郊外のシネコンの台頭により、2001年には2館にまで減少していました。映画館の相次ぐ閉館は、市民に大きな衝撃を与え、「まちに市民の映画館をつくる会」が発足するきっかけとなりました。

署名運動や市民出資を経て、八戸スカイビルとフォーラムシネマネットワークの協力のもと、「八戸フォーラム」が設立され、フォーラム八戸がオープンしました。市民の熱意が結実した映画館として、多くの人々に愛されました。

閉館、そして再開発へ

チーノはちのへは、その後もテナントを増やし、2006年7月にはリニューアルも行われました。一時、IT企業やテレマーケティング企業、Yahoo!の八戸センターなども入居し、賑わいを見せましたが、建物の老朽化などから、所有者である八戸スカイビル側の意向で営業を終了することになりました。

フージャースコーポレーションによる再開発構想が浮上し、土地建物を取得、解体後には分譲マンションや複合商業施設、駐車場棟が整備される計画が発表されました。2022年9月末までに地権者からの同意を得て、八戸市の熊谷雄一市長も再開発への協力を表明しました。

2022年9月末、チーノはちのへは閉館し、フォーラム八戸も2023年1月5日に閉館。建物は2023年夏から年末にかけて解体されました。

ハチノスクエアと新たな未来

2024年5月15日、チーノ跡地の再開発プロジェクトの総称が『ハチノスクエア』と決定しました。マンション棟の名称は『デュオヒルズ八戸ザ・マークス』と発表され、新たな街の顔として期待されています。

一方、フォーラム八戸を運営していた八戸フォーラムは、建築費高騰のため市域内での再出店を断念し、2023年9月6日に解散しました。これにより、八戸市から映画館が一時的に姿を消すことになりました。

チーノはちのへは、八戸の街の変遷を見守り続けた象徴的な存在でした。その閉館は、一つの時代の終わりを告げるものでしたが、同時に新たな未来への希望を抱かせるものでもあります。再開発によって生まれるハチノスクエアが、八戸の街に新たな賑わいをもたらすことを期待しましょう。

もう一度検索