チームオーダー

チームオーダー（team-order）

チームオーダーとは、スポーツ競技においてチームが選手に指示を行い、意図的に選手間の順位を調整する行為を指します。特に、F1（フォーミュラ1）世界選手権においてその事例が多く見受けられます。この行為は個人選手の結果よりもチーム全体の利益を優先するもので、狭義には選手の順位を入れ替えたり、特定の選手が有利になるよう指示を出すことです。

チームオーダーの意図と目的

一般的に、チームオーダーはチャンピオンシップ争いにおいて、上位にいるドライバーをサポートすることを目的としています。例えば、シーズンの中でチャンピオンシップを争う二人のドライバーがいる場合、上位にいるドライバーが他のドライバーを追い越せるように指示を出したり、逆に下位にいるドライバーがポジションを譲るよう指示することがあります。このようにすることで、チームとしてのビジョンを達成し、有利なポイントを獲得する狙いがあります。

F1における実例

F1では、チームオーダーの実施が特に顕著に見られます。かつて、1970年代や80年代には、ドライバーとチーム間であらかじめ順位の役割分担がされており、レース前にその内容を決定されることが一般的でした。しかし、1990年代後半になると、無線通信によって指示が外部に漏れるリスクが増したことから、チームは指示内容を暗号化して伝えるようになりました。

例えば2018年のロシアGPでは、メルセデスチームがエースドライバーのルイス・ハミルトンを優先させるために、同じチームのバルテリ・ボッタスに対してポジションを譲るように指示しました。このような行動は、時にドライバーモチベーションの低下を招くこともあり、ボッタスはその後のレースで成績が下がる結果となりました。

チームオーダーの賛否

このチームオーダーに対する意見は賛否が分かれます。一方では、チームスポーツとしての有効な戦略と評価されることもありますが、他方では選手の個々の競争を妨げる不正行為として批判されることもあります。特に、F1のように個人競技的な要素が強い場合、チームオーダーはドライバー間の競争を歪めるとの見方も強いです。

チームオーダーに関するルール

F1では、2010年以前は「チームオーダー行為を禁ずる」規則が存在し、違反した場合は罰則を科せられていましたが、2011年以降、その規制が緩和され、チームオーダーが再び許可されることとなりました。ただし、選手やチームが詐欺行為や不正行為に該当する場合には、依然として罰則が科せられる可能性があります。チームオーダーが今後どのように受け入れられるのか、それとも新たなルールが設けられるのか、注目されるところです。

まとめ

最終的に、チームオーダーとは、スポーツとその運営において複雑な役割を担う要素であり、選手個々の競争とチーム全体の利益の間での微妙なバランスが求められます。F1におけるチームオーダーは、レーシングチームの戦略や戦績に大きな影響を与えるため、今後も重要な議論の焦点となるでしょう。

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