ツァイト (タンジェリン・ドリームのアルバム)

タンジェリン・ドリームの革新的なアルバム『ツァイト』

『ツァイト』（Zeit）は、ドイツの電子音楽グループ、タンジェリン・ドリームが1972年8月に発表した3枚目のアルバムです。旧邦題は『われら、時の深淵より叫びぬ!』。この作品は、彼らにとって初の2枚組アルバムであり、ピーター・バウマンがバンドに加入後、初めて制作に参加したアルバムとしても知られています。副題として「Largo in Four Movements（4楽章のラルゴ）」と名付けられており、その音楽性は前作までとは一線を画す、より実験的で深淵なものへと変化を遂げています。

サウンドの特徴

『ツァイト』のサウンドは、それまでの作品と比較して、より緩やかで非旋律的、そして宇宙的な広がりを持つものへと進化しています。音楽評論サイト『オールミュージック』は、このアルバムを「タンジェリン・ドリームにおける『スペース・ミュージック』の最も純粋な表現」と評し、その音楽的な特徴を「一つの旋律から次の旋律へと、たゆたうように満ち引きしていく」と表現しています。また、クラシック音楽的な構成を取り入れ、一つのテーマが次第に溶けていくように、次のセクションへと移行していく点も特徴的です。この革新的な音楽性から、批評家からはダーク・アンビエントの初期の例としても評価されています。

参加ミュージシャン

このアルバムには、同じドイツのバンド、ポポル・ヴーのフローリアン・フリッケがモーグ・シンセサイザーの演奏で参加しています。また、冒頭の楽曲「輝けるプレアデスの誕生」では、4人のチェロ奏者による演奏も聴くことができます。これらの参加ミュージシャンは、本作の深淵で壮大なサウンドスケープを創り出す上で重要な役割を果たしています。

アルバムタイトルについて

アルバムタイトルである「Zeit」は、ドイツ語で「時」を意味します。このタイトルは、アルバム全体を覆う時間や宇宙の概念と深く結びついており、その音楽的なテーマを象徴する言葉となっています。

曲目構成

アルバムは全4曲で構成されており、各楽曲はそれぞれが独立したテーマを持ちながら、全体として一つの大きな流れを形成しています。各曲のタイトルは以下の通りです。

サイド1: 輝けるプレアデスの誕生 (Birth of Liquid Plejades) - 19:54
サイド2: めざめゆく未明の宇宙 (Nebelous Dawn) - 17:56
サイド3: 超自然の起源 (Origin of Supernatural Probabilities) - 19:34
サイド4: ツァイト(時) (Zeit) - 16:58

これらの楽曲は、すべてエドガー・フローゼ、クリストファー・フランケ、ピーター・バウマンによって作曲されています。

パーソネル

アルバムには、以下のメンバーが参加しています。

タンジェリン・ドリーム

エドガー・フローゼ - オーディオ・ジェネレーター、グリス・ギター
クリストファー・フランケ - キーボード、シンバル、VCS3アナログ・シンセサイザー
ピーター・バウマン - オルガン、ヴィブラフォン、VCS3アナログ・シンセサイザー

旧タンジェリン・ドリーム

スティーヴ・シュロイダー - オルガン（「Birth of Liquid Plejades」のアウトロ）

アディショナル・ミュージシャン

フローリアン・フリッケ - モーグ・シンセサイザー（「Birth of Liquid Plejades」）
ザ・ケルン・チェロ・カルテット - チェロ（「Birth of Liquid Plejades」のイントロ）

クレジット

ディーター・ディエクス - レコーディング・エンジニア
エドガー・フローゼ - カバー・アート
モニーク・フローゼ - カバー&スリーヴ・フォトグラフィー

外部リンク

ツァイト - Discogs (発売一覧)

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