ツェップアンテナ

ツェップアンテナは、その名の通り、ツェッペリン飛行船に搭載されたことに由来するアンテナの一種です。エンドフェッドアンテナの一種でもあります。このアンテナは、最低使用周波数の半分の波長の導線（エレメント）の一端から、はしごフィーダー線を用いて給電するという特徴的な構造をしています。

具体的には、特性インピーダンスが600オームのフィーダー線を使用し、アンテナカップラーを介して同軸ケーブルに接続することが一般的です。ツェップアンテナの最大の特徴は、最低使用周波数の整数倍の周波数で共振する点です。例えば、アマチュア無線で使用する場合、3.5MHz帯または7MHz帯を最低使用周波数として設計すれば、14MHz帯、21MHz帯、28MHz帯といった高周波帯でも利用可能になります。

同軸ケーブルが一般的に普及する以前は、ツェップアンテナは広く利用されていました。しかし、その一方で、使用周波数の高調波でも共振してしまうという特性から、近隣のテレビ受信機などに電波障害を引き起こす可能性が高いという問題がありました。また、現在では、ツェップアンテナと同等の寸法で、さらに高い利得を持つ高性能なアンテナが開発されていることもあり、ツェップアンテナが使われる場面はほとんどなくなっています。

ツェップアンテナに類似したアンテナとして、ツェップライクアンテナやツェップ型アンテナと呼ばれるものも存在します。これらのアンテナは、給電部にLC回路を用いて同軸ケーブルで給電する電圧給電アンテナです。アンテナの両端が電圧の腹となるため、タワーなどから1/8波長以上離して設置することが推奨されています（性能や調整の観点から）。このタイプのアンテナは、大手メーカーからも販売されており、自作する人も少なくありません。さらに、J-poleアンテナの構造にも利用されています。

ツェップアンテナは、過去には広く利用されていましたが、電波障害のリスクやより高性能なアンテナの登場により、現代ではその利用は限られています。しかし、アンテナの歴史を語る上で重要な存在であり、その原理は現代のアンテナ技術にも応用されています。

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