ツノナガヌマエビ

ツノナガヌマエビ（C.grandirostris）

ツノナガヌマエビは、ヌマエビ科に属する淡水性のエビで、日本に特有の種です。主に千葉県、薩摩半島、種子島、屋久島、沖縄島、渡嘉敷島、石垣島、および西表島で見られ、現時点では海外からの記録は確認されていません。

形態

このエビの特徴的な形態として、頭胸甲の長さは約7mm、全体の体長は35mm程度になります。特に顕著なのは額の長さであり、触角鱗を超えるほどの長さを持ち、その先端は上方に湾曲しています。この独特な形状が和名の由来になっています。額の上縁には14本から22本の歯があり、そのうち1本から3本が頭胸甲の上部に位置しています。さらに先端近くにも1本から2本の歯があり、下縁には8本から21本の歯があります。

ツノナガヌマエビの触角には上棘が存在するものの、前側角には棘がありません。第1胸脚の腕節はハサミより短く、前縁の幅の2.4倍から2.5倍の長さを持っており、前縁はややくぼんでいます。第2胸脚の腕節はハサミよりも長く、さらに腕節は長節よりも長い構造になっています。また、このエビの第3胸脚の指節には5本から7本の棘が確認されます。

雄の第1腹肢内肢には、長く伸びた内肢突起が先端近くに存在します。体色はほぼ半透明で、腹部の背面には白色や赤色の縞模様、正中線上には白い縦帯が見られる個体もいます。これらの特徴がツノナガヌマエビを非常に独特な存在にしています。

生態

ツノナガヌマエビは、主に河川の下流から中流域で生息しています。抱卵期は4月から11月までとされ、直径0.41mmから0.44mmの卵を500個から3000個ほど産みます。これらのエビは両側回遊型で、小卵多産型の生態を持っています。

ツノナガヌマエビは環境に適応した独特な習性を持ち、特に繁殖行動においてその生態の多様性が顕著です。以降の研究によって、このエビが生息する環境やその生態に関する理解が進むことを期待しています。

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