ツヴィーベルクーヘン

ツヴィーベルクーヘン：ドイツ、アルザス、スイスの玉ねぎケーキ

ツヴィーベルクーヘン（Zwiebelkuchen）は、その名の通り「玉ねぎケーキ」を意味するドイツ語で、南ドイツ、東ドイツを中心に、アルザス地方やスイスでも広く親しまれている郷土料理です。玉ねぎをふんだんに使用した、風味豊かな一品として知られています。

ドイツのツヴィーベルクーヘン

ドイツでは、イースト生地を使った四角形や円形のシートケーキ、またはキッシュ・ロレーヌのようなサクサクしたパイ生地を使ったものが一般的です。

生地の上には、主役である玉ねぎの他に、サワークリーム、生クリーム、卵、ベーコンなどがトッピングされます。玉ねぎは、生で使うことはほとんどなく、通常は細かく刻んでバターやベーコンの脂でじっくりと炒め、甘みを引き出してから生地に加えます。仕上げに塩やキャラウェイシード（ヒメウイキョウの種）で風味付けをするのが一般的です。キャラウェイシードは、消化を助ける効果があるとされています。

地域差も見られ、ザクセン・アンハルト州やザクセン州などでは、玉ねぎとベーコンを事前に炒めることはせず、生地に直接トッピングし、焼き上がりの際に卵とサワークリームの混合物を加えるスタイルもあります。生の玉ねぎを使う場合、焼き時間が長くなるため、南ドイツでは特に厚めに玉ねぎを乗せるのが一般的です。

ツヴィーベルクーヘンは、特に秋の収穫期に各地の祭りやイベントで振る舞われます。「タマネギ市」として知られるワイマールのイベントや、ライン川、モーゼル川、ザール川沿いのワイン産地、ヴュルテンベルク、プファルツ、ヘッセン、フランケン地方などでは、ワインフェスティバルなどで味わうことができます。名称も地域によって「ツヴィーベルクーヘン」や「キッシュ」など、様々です。温かい状態でいただくのが一般的で、冷めてしまった場合は電子レンジで温めて食べます。

相性の良い飲み物としては、軽やかなフェーダーヴァイサーなどの新酒が挙げられますが、辛口のリースリングなどのワインや、様々な種類のビールもよく合います。

スイスのツヴィーベルクーヘン

スイス、特にバーゼル地方では「オニオンヴェーエ」と呼ばれ、チーズヴェーエと並んで、バーゼルのカーニバル（ファスナハト）の伝統料理として親しまれています。また、ベルンで開催される「ベルナー・ツィベレマリート（ベルンの玉ねぎ市）」でも、ツヴィーベルクーヘンは重要な食べ物の一つです。

アルザスのツヴィーベルクーヘン

アルザス地方では、フランス語で「タルト・ア・ロニオン (Tarte à l'oignon)」と呼ばれ、地元のアレマン語方言では「ツヴィエルクエヒ (Zwiwwelkuech)」と呼ばれます。

まとめ

ツヴィーベルクーヘンは、シンプルながらも奥深い味わいが魅力の料理です。地域によって異なるバリエーションを楽しみながら、秋の豊かな恵みを感じることができるでしょう。

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