ツー・ライヴ・クルー

ツー・ライヴ・クルー：フロリダのヒップホップ革新者

ツー・ライヴ・クルー（2 Live Crew）は、1985年にフロリダ州マイアミで結成されたヒップホップグループです。グループの中心的存在であるルーサー・キャンベルは、映画『スター・ウォーズ』のキャラクター、ルーク・スカイウォーカーにちなんで自身の名前を名乗り、独特な音楽スタイルと強烈な歌詞で知られるようになりました。彼らは特にマイアミ・ベース音楽の重要なアーティストの一つとされています。

歌詞の内容と人気の原動力

ツー・ライヴ・クルーの音楽は、性描写や下ネタを多く含んだスタイルであるため、多くのリスナーにとって一際目を引きました。彼らの楽曲は、黒人の若者のみならず、白人の青少年にも広がり、特に1989年にリリースされたアルバム『As Nasty As They Wanna Be』は大ヒットを記録しました。このアルバムの中のトラック「Me So Horny」はラジオで流れ、瞬く間に人気を博しました。

ただし、過激な歌詞の影響を受けたのはファンだけではなく、保守的な政治家や団体も彼らの作品に注目しました。フロリダ州知事ボブ・マルティネスや、ゲームとポルノ撲滅運動に取り組む弁護士ジャック・トンプソンは、彼らの作品が猥褻に当たるとして法的な規制を試みました。アメリカン・ファミリー協会（AFA）と協力し、彼らのアルバムにペアレンタル・アドバイザリーラベルが貼られることとなり、その後各州での販売禁止に至りました。

これにより、彼らの楽曲を販売したレコード店の店員は次々と逮捕され、フロリダ州のニック・ナバロ保安官によってルーサー・キャンベルを含むメンバーが逮捕される事態にまで発展しました。また、ルーク・スカイウォーカー名義の使用に対して、映画製作者ジョージ・ルーカスから告訴され、敗訴に至ったこともあり、300万ドルの賠償金を支払う結果になりました。これによってルーサーは名を改めなければならなくなりましたが、逆にこうした出来事はツー・ライヴ・クルーの知名度を高める結果となりました。

表現の自由と抗議

1990年には、こうした抑圧に対抗する形で『Banned in the U.S.A.』がリリースされました。この曲はブルース・スプリングスティーンの「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」をサンプリングしながらマルティネス知事やナバロ保安官の批判を軽快なリズムに乗せて表現し、言論の自由を訴える内容となっています。このことからも、ツー・ライヴ・クルーは単なる音楽グループに留まらず、社会的な議題に一石を投じる存在としても知られるようになりました。

メンバーとディスコグラフィ

ツー・ライヴ・クルーのメンバーは多岐にわたり、ルーサー・キャンベルをはじめ、Fresh Kid Ice、Mr. Mixx、Amazing V.、Brother Marquis、Verb、DJ Ballistic Billyなどが在籍しています。彼らの影響力あるディスコグラフィには、多くのアルバムが含まれており、代表作には『The 2 Live Crew Is What We Are』、『Move Somethin'』、『As Clean As They Wanna Be』、さらにはライブアルバム『Live in Concert』や、作品のテーマである『Banned in the U.S.A.』などがあります。

このようにツー・ライヴ・クルーは、革新的な音楽スタイルとその背後にある社会的な問題を通じて、ヒップホップの歴史に名を刻んだアーティストであると言えるでしょう。

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