ティグリス (装輪装甲車)

ティグリス装輪装甲車：イスラエル国防軍の新たな戦力

ティグリス（Tigris）は、2023年初頭にイスラエル国防軍（IDF）に配備された最新の装輪装甲車です。この車両は、長年ヨルダン川西岸地区での治安維持任務に従事してきたゼーヴ（ウルフ）装輪装甲車の更新を目的として開発されました。近年の治安情勢の変化に対応し、兵士の安全を確保するために、ティグリスは重要な役割を担っています。

概要

ティグリスは、プラサン社とオシュコシュ社が共同開発した4×4輪駆動のサンドキャット装甲車のロングボディモデルをベースにしています。特徴として、車体の装甲防御力がゼーヴやM113装甲兵員輸送車と比較して大幅に向上しています。これは、市街地での活動を想定し、投石や火炎瓶などの攻撃に対する防御を強化したためです。

乗員構成は、運転手1名と武装兵士8名で、車体には銃眼が設けられており、車内からの戦闘も可能です。これにより、兵士は安全な場所から周囲の状況に対応できます。また、維持経費がゼーヴよりも抑えられている点も、運用面でのメリットと言えるでしょう。

開発の背景

ティグリスの開発は、2022年3月から5月にかけて発生した、アラブ系あるいはパレスチナ人活動家によるユダヤ人への連続テロが大きく影響しています。これらの事件を受け、イスラエル国防軍は、より高い防御力と機動性を兼ね備えた車両の必要性を痛感しました。

既存のゼーヴ装甲車や、その後継として2019年から配備されたパンサー装甲車では、前線部隊の要求を十分に満たせない点が明らかになったため、緊急措置として公開入札なしでプラサン社から50両のティグリス装甲車を購入することが決定しました。そして、2023年以降の治安維持任務に順次投入されています。

ティグリスの重要性

ティグリスは、イスラエル国防軍にとって、治安維持任務における重要な戦力です。高い防御力と機動性、そして市街地での活動に特化した設計により、兵士の安全を確保しつつ、任務を遂行することができます。また、維持経費が抑えられている点も、長期的な運用を考えると大きな利点となります。

今後、ティグリスは、ヨルダン川西岸地区をはじめとする地域での治安維持活動において、その能力を発揮していくことが期待されます。

関連項目

歩兵機動車
ゼーヴ装甲車
サンドキャット装甲車
パンサー装甲車

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