ティレル・023

ティレル 023 (Tyrrell 023) 概要

ティレル 023は、1995年のF1世界選手権に向けてティレルによって開発されたフォーミュラカーです。デザインを担当したのはハーベイ・ポスルスウェイトで、シーズンを通して実戦に投入されました。この年、ティレルは新たにノキアをタイトルスポンサーとして迎えましたが、マシンの成績は期待を裏切ることとなります。

特徴

023は、過去に禁止されていたアクティブサスペンションに代わり、ハイドロリンクサスペンションという新しい油圧式の機構を採用していました。これによりセッティングの柔軟性が向上し、変更に要する時間も短縮されるという利点がありました。しかし、開幕戦から速さを感じられず、シーズンの途中でノーマルのパッシブサスペンションに変更されてしまいました。サイドポンツーンの後方は022よりもコンパクトに設計され、ダウンフォースの向上を図るためにセンターディフューザー上での形状変更も行われていましたが、フロント部分は022と非常に似たデザインとなっていました。

1995年シーズンの経過

1995年のシーズンは、ティレルについて期待を寄せられていた年でしたが、結局ミカ・サロが3度の入賞を果たすものの、チームはわずか5ポイントしか獲得できない結果に終わりました。特に、第13戦のポルトガルGPでは片山右京が大クラッシュを経験し、第14戦のヨーロッパGPを欠場。その代役としてテストドライバーのガブリエル・タルキーニが起用されましたが、右京は第15戦から復帰しました。

ノキアはシーズンの終わりにスポンサーを撤退し、シーズン最終戦オーストラリアGPに臨む前のサロのコメントからも、023のパフォーマンスへの不安が垣間見えました。彼はレース前に「これが最後の80周になると思うと嬉しい」という趣旨の発言をしており、その状況は023に対する不満を表しています。

スペック

ティレル 023の技術的なスペックも注目に値します。シャーシはカーボンファイバーとアルミハニカムで構成されたモノコックで、全長は4,380mm、全高は950mm、ホイールベースは2,890mmです。サスペンションはハイドロリンクサスペンションを採用し、後半のレースではパッシブサスペンションへと変更されています。また、エンジンにはヤマハOX10Cが搭載されており、V型10気筒で排気量は3,000ccです。

成績

1995年シーズンの成績として、ティレルはコンストラクターズランキングで8位、ドライバーズランキングで14位の結果を残しました。ミカ・サロは最高で予選7位、決勝5位の成績を収め、片山右京は最高で予選11位、決勝7位を記録しました。ガブリエル・タルキーニは第14戦のみに出場し、予選19位、決勝14位でした。全体的に見て、この年のティレル 023は数々の期待を背負いながらも、苦しいシーズンとなったことがわかります。

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