ティンカー・ベル (映画)

ティンカー・ベル：ネバーランドの妖精の物語

2008年、ディズニーから新たな妖精の物語が誕生しました。それが、劇場公開とDVDリリースで世界中に愛された『ティンカー・ベル』です。本作は、誰もが知るピーターパンに登場する妖精、ティンカー・ベルを主人公に据え、彼女の知られざる物語を丁寧に紡ぎだしています。

物語の舞台は、ネバーランドの妖精の谷「ピクシー・ホロウ」。様々な才能を持つ妖精たちが、それぞれの役割を担いながら暮らしています。植物を育てる妖精、動物を世話する妖精、光を集める妖精、水を操る妖精…そして、ティンカー・ベルは「ものづくり」の才能を持つ妖精として生まれてきました。

誕生後、ティンカー・ベルは仲間たちと共に、他の妖精たちが使う道具の製作や修理といった裏方の仕事を担います。しかし、彼女はメインランド（人間の世界）へ行き、四季を届けることに強い憧れを抱いていました。しかし、ものづくり妖精はメインランドへ行くことが許されていません。この事実を知ったティンカー・ベルは、大きな落胆を味わいます。

自分の才能に疑問を抱き始めたティンカー・ベルは、他の妖精たちの仕事を手伝うことを決意します。しかし、彼女の試みはことごとく失敗に終わってしまいます。それでも諦めきれない彼女は、ヴィディアという妖精に相談しますが、ヴィディアは意地悪な性格で、ティンカー・ベルに嘘の情報を伝えます。その結果、春の準備は台無しになり、メインランドに春を届けるには数ヶ月もの時間がかかってしまうという危機に陥ってしまいます。

落胆するティンカー・ベルを励ましたのは、テレンスという妖精でした。彼は自身の仕事、「妖精の粉を妖精たちに振りかけるだけ」という仕事を卑下していましたが、ティンカー・ベルは彼に仕事の誇りを持ち続けるよう促します。そして、テレンスから「自分の仕事に誇りを持っている」という言葉を受け、ティンカー・ベルは「ものづくり」への情熱を取り戻します。

再び意欲を取り戻したティンカー・ベルは、春の準備を短時間で完了させるための新しい道具の開発に挑みます。仲間たちの協力も得て、彼女は期限内に春の準備を終えることに成功します。

本来、メインランドへ行くことが許されていないものづくり妖精であるティンカー・ベルでしたが、彼女の才能は認められます。フェアリーメアリーですら修理できなかったメインランドから流れ着いたオルゴールを修理したことで、そのオルゴールを落とし主に届けるという特別な任務を与えられたのです。

こうして、ティンカー・ベルは仲間たちと共にメインランドへと旅立ちます。そして、オルゴールを落とし主であるウェンディという少女の寝室の窓辺にそっと置いて帰るのだった。この出来事が、ティンカー・ベル自身の成長と、人間世界との新たな繋がりを象徴する感動的なシーンとなっています。

この映画には、メイ・ホイットマン（英語版）、深町彩里（日本語版）など豪華な声優陣が参加。日本の公開時には、携帯電話を使った大規模なオーディションが行われ、17000人以上の応募者の中から深町彩里さんがティンカーベル役に選ばれました。また、日本語吹替版のエンディングテーマには、湯川潮音さんの『妖精のうた』が起用され、話題となりました。

『ティンカー・ベル』は、美しい映像と心温まるストーリーで、多くの観客の心を掴んだ作品です。妖精たちの世界観、友情、そして成長という普遍的なテーマは、世代を超えて愛される理由となっています。

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