テイルスピン

テイルスピン

「テイルスピン」（TaleSpin）は、1990年から1991年にかけてアメリカのディズニー・アフターヌーン枠で放送された、ウォルト・ディズニー・カンパニー制作によるテレビアニメシリーズです。ディズニーの長編アニメーション映画『ジャングル・ブック』を原作としたスピンオフ作品として企画されました。

この物語の舞台は、人間のように振る舞う擬人化された動物たちが暮らす、1930年代のアメリカ合衆国を思わせる独特の世界です。原作に登場するキャラクターの一部が、新しい設定で活躍する「スターシステム」が採用されています。特に、原作でお気楽なクマとして親しまれたバルーが、本作では凄腕の飛行士として主人公を務めています。番組名の「テイルスピン」は、航空機が錐揉み状に急降下する飛行術語に由来しており、空を舞台にした物語であることを示しています。

あらすじ

物語の主要な舞台は、自然の断崖に対空砲が設置され、外界からの侵入を防いでいる美しい港町「シュゼット岬」（英語名はクレープ・シュゼットをもじったユーモラスなもの）です。この町に住む主人公のクマ、バルーは、天賦の操縦技術を持つ天才パイロット。しかし、その性格は極めてだらしなく、自らの小さな運輸会社と愛機「シーダック号」を維持するためのローンの返済が滞ってしまい、ついにそれらを新進気鋭のシングルマザー実業家、レベッカに売却する事態となります。

バルーは大切なシーダック号を取り戻すため、レベッカが会社を買い取った後に設立した輸送会社「スカイ航空」に入社。そこで、空賊の仲間から逃げ出してきた孤児の少年、キットを新たな相棒として迎えます。町の経済を牛耳る大物実業家、カーン社長との出会いや、悪名高い空の海賊であるドン・カルナージとその一味との対決などを経験しながら、バルーとキットはシーダック号で様々な荷物や人々を運び、シュゼット岬の空を飛び回ります。

主な登場人物

バルー
シュゼット岬に暮らす、灰色熊の主人公。だらしなく、歌と踊りが大好きという一面もありますが、操縦桿を握れば右に出る者はいない天才的なパイロットです。『ジャングル・ブック』の同名キャラクターがモデル。オレンジソーダが好物。

キット・クラウドキッカー
茶色熊の少年で、身寄りのない孤児。かつては空賊のドン・カルナージのもとにいましたが、悪党稼業に嫌気がさして逃げ出し、バルーの頼れる相棒となります。トレードマークはバルーにもらった青い帽子。

レベッカ・カニンガム
茶色熊の女性で、優れたビジネスセンスを持つシングルマザーの実業家。バルーから会社とシーダック号を買い取り、「スカイ航空」を設立して社長となります。規律正しい性格のため、怠けがちなバルーとはしばしば口論になります。バルーとはお互い惹かれ合っている節があります。

モリー・カニンガム
レベッカの幼い娘。明るくおてんばな性格で、バルーによくなついています。

ルーイ
バルーが常連となっている南国風のバーの店主。オランウータンで、『ジャングル・ブック』のキャラクターがモデルとなっています。

ワイルドキャット
ライオンの男性で、スカイ航空の専属整備士。普段はぼんやりしているように見えますが、メカニックに関しては並外れた才能を持つ天才です。

ドン・カルナージ
赤毛のオオカミで、本作におけるディズニー・ヴィランズの一人。プライドが高く役者のような口調を使う、気取った空賊のキャプテンですが、手下のマヌケぶりに手を焼くことも多いです。

カーン社長
トラの男性で、『ジャングル・ブック』のシア・カーンがモデルの大物実業家。「カーン社」を世界有数の貿易会社に育て上げた冷徹なビジネスマンですが、仁義を通す一面もあり、バルーのパイロットとしての腕を高く評価しています。

放送と配信

アメリカでは初回は2時間のスペシャル番組として放送されました。日本では1992年にWOWOWにて帯番組として全65話が放送されたほか、ディズニーチャンネルでも放送実績があります。2022年からは、定額制動画配信サービスであるDisney+にて、欠番となった2話を除く全63話が配信されています。

その他

オープニングテーマは「テイルスピンのテーマ」で、マイケル・シルバーシャーとパトリシア・シルバーシャーが作曲を手がけました。日本語版主題歌も存在し、WOWOWやディズニーチャンネルでの放送時に使用されました。制作には、ウォルト・ディズニー・アニメーション・ジャパンを含む世界各地のアニメーションスタジオが携わっています。

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