テザリング

テザリングとは

テザリング（tethering）とは、スマートフォンなどのモバイル端末が持つインターネット接続機能を活用し、その端末を介して他のデバイスをインターネットに接続する技術です。この技術により、例えばパソコンやタブレットなどのデバイスが、Wi-Fi環境がない場所でもインターネットを利用できるようになります。テザリングは、モバイル端末を一種の「ポータブルルーター」として機能させることで実現します。

テザリングの仕組み

テザリングの基本的な仕組みは、モバイル端末が携帯電話回線（3G、4G LTE、5Gなど）を通じてインターネットに接続し、その接続をWi-Fi、Bluetooth、またはUSBなどの接続方法で他のデバイスに共有するというものです。具体的には、モバイル端末はネットワークブリッジとして動作し、接続された他のデバイスからのインターネットアクセス要求を、自身のインターネット接続を介してインターネットに転送します。

テザリングの種類

テザリングには、主に以下の3つの接続方法があります。

1. Wi-Fiテザリング：
モバイル端末がWi-Fiアクセスポイントとして機能し、他のデバイスがWi-Fi接続を介してインターネットに接続します。複数のデバイスを同時に接続できる利点がありますが、端末のバッテリー消費が大きくなる傾向があります。

2. Bluetoothテザリング：
Bluetooth接続を利用して他のデバイスをインターネットに接続します。Wi-Fiテザリングに比べて通信速度は遅くなりますが、端末のバッテリー消費は比較的少ないです。

3. USBテザリング：
USBケーブルを介してモバイル端末と他のデバイスを接続し、インターネット接続を共有します。有線接続のため安定した通信が可能ですが、ケーブル接続が必要なため、場所が限られるという欠点があります。USBテザリングの場合、接続された機器を充電できる場合もあります。

4. 有線LANテザリング
USB-Cイーサネットアダプタを接続することで、有線LANによるテザリングができる。Android 11で対応した。

Androidにおけるテザリング

Android OSでは、バージョン2.2から標準でテザリング機能が搭載されました。しかし、初期の頃は日本で販売されるスマートフォンではこの機能が制限されていたり、設定メニューに表示されないなどの制約がありました。その後、NTTドコモやイー・モバイルなどのキャリアがテザリングに対応した端末を発売し、日本でもテザリングが一般的に利用できるようになりました。

キャリアによるテザリングの料金体系

テザリングの利用料金は、携帯電話キャリアや契約プランによって異なります。当初は、テザリングを利用するとパケット通信の上限額が通常よりも高くなるケースや、通信量に制限が設けられることがありました。しかし、近年では、テザリングオプションとして追加料金を支払うことで、通信量が増加するプランや、より高速な通信が利用できるプランが登場しています。

iOSにおけるテザリング

iOSでは、バージョン3.0からUSBまたはBluetoothによるテザリング機能が搭載され、バージョン4.2.5からはWi-Fiによるテザリング機能である「パーソナルホットスポット」が利用できるようになりました。当初、日本のキャリアではiPhoneのテザリング機能が制限されていましたが、iPhone 5以降、多くのキャリアがテザリングオプションを提供しています。

テザリング利用時の注意点

• - バッテリー消費: テザリングは、特にWi-Fi接続の場合、端末のバッテリー消費が激しくなる傾向があります。長時間の利用には注意が必要です。
• - データ通信量: テザリングで共有するデータ通信量は、契約プランの制限を超えないように注意する必要があります。
• - キャリアの制限: テザリングの利用には、携帯電話キャリアや契約プランによる制限が設けられている場合があります。契約内容をよく確認し、利用条件を守って使用する必要があります。
• - セキュリティ: テザリングを使用する際には、接続パスワードを設定するなど、セキュリティ対策を講じることが重要です。

まとめ

テザリングは、スマートフォンなどのモバイル端末を介して、他のデバイスをインターネットに接続できる便利な機能です。しかし、利用にはバッテリー消費やデータ通信量、キャリアの制限など、いくつかの注意点があります。テザリングを安全かつ快適に利用するためには、これらの点を理解し、適切に利用することが重要です。

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