テセウスの船 (漫画)

テセウスの船

著者: 東元俊哉
連載期間: 2017年30号 - 2019年30号
出版社: 講談社
ジャンル: サスペンス、ミステリー

概要

『テセウスの船』は、1989年に発生した音臼小学校での無差別毒殺事件を中心に、江東元俊哉が描くサスペンス漫画です。本作は、特に家族と冤罪のテーマを掘り下げており、主人公は事件の背後に潜む真実を探し求めます。

あらすじ

物語は、1989年6月24日に北海道音臼村で発生した無差別毒殺事件から始まります。この事件では、児童16人と職員5人の合計21人が死亡し、駐在所の警察官である佐野文吾が主な容疑者として逮捕されます。彼は自宅から押収された青酸カリの証拠を否認し続けながら、無罪を訴えています。

28年後、息子の田村心（たむらしん）が父背負う冤罪に取り組む姿も描かれます。心は母の旧姓を名乗り、事件のせいで「殺人犯の家族」として周囲からの偏見に悩まされ、一度も父と会ったことがないまま成長しました。彼は、妻・由紀との新たな生活に希望を見出しながらも、父の冤罪について考えざるを得なくなります。しかし、由紀が出産の際に命を落とし、心は一層深い苦悩と向き合うことになります。

心の心の中で、もし父が無罪であれば自分の娘は“犯罪者の孫”ではなくなるという思いが芽生え、彼は事件の真相を解き明かす決意を固めます。由紀が残した資料を手がかりに、心は音臼村へ足を運び、奇妙な霧に包まれた時空を超え1989年にタイムスリップします。

過去への旅と真実の追求

過去に飛ばされた心は、音臼村で雪に埋もれた少女を救いますが、その少女が自分の姉、佐野鈴であることに気付きます。歴史が異なり、鈴は本来の凍傷の痕が残っていません。心は重い使命感に駆られ、事件の核心に迫るために行動を開始します。しかし、彼の試みはすぐに徒労に終わってしまいます。

心は村での出来事を通じて、父が本当に犯人なのか疑念を抱き、文吾と接触を試みるものの、父が信じて疑わない姿に戸惑います。文吾の妻である和子は、心を「娘の恩人」として受け入れ、彼の苦しい日々を共に過ごします。

謎が生む葛藤

心は由紀が残したノートを手に、事件の詳細を探る一方で、父が冤罪である可能性を追求し続けます。しかし、その過程で数々の人物が複雑に絡み合い、さまざまな真実が交錯します。心がタイムスリップを繰り返す中で、文吾の無実を証明しようと奮闘する姿が描かれています。

メディア展開

本作は2020年にTBS系でテレビドラマ化され、幅広い視聴者にそのストーリーが伝えられました。主演をつとめた竹内涼真は、心の苦悩と成長を見事に演じ、多くのファンの心を掴みました。また、ドラマ放送後には動画配信サービスに特典映像が配信され、さらに多くの話題を呼びました。

終わりに

『テセウスの船』は家族の絆や冤罪への闘志を描いた深いテーマを持った作品として、強い印象を与えることでしょう。物語が進むにつれて明らかになる人間関係や真実に、ぜひ注目してみてください。

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