テニス肘

テニス肘（バックハンドテニス肘）

テニス肘は、テニスをはじめとするラケットスポーツや、手作業などによって肘に痛みが生じる運動障害の総称です。特に、ここではバックハンドストローク時に発生する上腕骨外側上顆炎、いわゆるバックハンドテニス肘について解説します。

原因と症状

原因

主な原因は、前腕伸筋群への過度な負担です。特に、橈側手根伸筋起始部に微小な断裂が生じ、スポーツや手作業を続けることで修復が不完全となり、亜急性の機能障害を引き起こします。

バックハンドストロークでボールを正確に捉えられず、手首の力で無理に対抗すると、手関節の伸筋やその付着部に大きな負担がかかります。その結果、筋の変性や骨膜の炎症などが起こります。近年では、パソコンやスマートフォンなどの普及により、手首を酷使する人が増えたため、テニスなどのスポーツをしない人でも発症するリスクが高まっています。

テニス肘は、10歳代から70歳代まで幅広い年齢層に見られますが、特に40歳代に多く発症する傾向があります。

症状

主な症状としては、以下のものが挙げられます。

肘部外側の疼痛、圧痛、熱感
上腕部から手にかけての放散痛
手関節などの脱力感
手関節の他動的伸展による疼痛の誘発・増強

検査

以下の検査で陽性を示すことがあります。

中指伸展試験
手関節伸展試験（トムゼンテスト、コーゼンテスト）
椅子試験（チェアテスト）

これらの検査は、肘の特定部位に負荷をかけることで痛みを誘発し、テニス肘の診断を補助するものです。

治療

治療の基本は、以下の通りです。

1. 安静と固定: スポーツや手作業を中止し、患部を安静に保ちます。必要に応じて、サポーターなどで固定します。
2. 冷却: 冷湿布などで患部を冷却し、炎症を抑えます。
3. 物理療法: 患部の血行促進や神経筋の促通を目的とした物理療法を行います。
4. 運動療法: 痛みが軽減したら、関節などの柔軟性を高める運動を徐々に始めます。

テニス肘は再発しやすい疾患であるため、回復後は、身体能力レベルに合わせた適切な運動や作業方法に変更し、予防に努めることが重要です。フォームの見直しや、使用する道具の調整なども有効です。

予防

テニス肘の予防には、以下の点が重要です。

正しいフォーム: バックハンドストロークのフォームを改善し、手首への負担を軽減します。
適切な道具: グリップサイズやラケットの重さなどを調整し、自分に合った道具を使用します。
ストレッチ: 運動前後に、前腕伸筋群のストレッチを十分に行います。
筋力トレーニング: 前腕伸筋群の筋力トレーニングを行い、手首を安定させます。
休息: 運動や作業の合間に、適切な休息を取り、手首を休ませます。

関連項目

野球肘
ゴルフ肘

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