テリー・ウィノグラード

テリー・ウィノグラードについて

テリー・ウィノグラードは、1946年2月24日にアメリカのメリーランド州タコマパークで生まれ、現在はスタンフォード大学で教授として活躍する著名な計算機科学者です。彼は自然言語処理やソフトウェアデザインの分野で重要な貢献をしたことで知られています。

来歴と業績

ウィノグラードは、SHRDLUと呼ばれる自然言語を理解するプログラムの開発に携わりました。このプログラムは、1968年から1970年にかけて開発され、コンピュータが特定の状況下で自然言語を理解し、操作を行う能力を持つことを示しました。SHRDLUは、青い積木を動かすという指示を受け取ることで、仮想的な世界での行動を実行し、「どの青い積木かわからない」という応答を返すことができました。この研究は、人工知能が自然言語を理解するためにはどのような理解力が必要かという問題を探求するものでしたが、ウィノグラードは次第に、この分野の限界について批判的な見解を持つようになりました。

1980年代初頭、ウィノグラードは「社会的責任を考えるコンピュータ専門家の会（CPSR）」の創設者の一人として、核兵器や計算機科学における米国防総省の関与の増大に対する懸念を表明しました。さらに、1990年代初頭には哲学者フェルナンド・フローレスとの共同研究を通じて早期のグループウェアに関する研究を行い、「行動のための会話」という新たな設計思想を提唱しました。

ウィノグラードは、ソフトウェア工学よりも広い意味での「ソフトウェアデザイン」に焦点を当て、その重要性を強調しています。1991年には「人々とコンピュータとデザインに関するプロジェクト（Project on People, Computers and Design）」を設立し、ソフトウェアデザインの教育と研究を推進しました。著書『ソフトウェアの達人たち』では、彼のデザインに関する考えが述べられています。

ウィノグラードはまた、スタンフォード大学で博士課程を追うラリー・ペイジの指導を1995年から行いました。ペイジはのちに大手検索エンジン「グーグル」を共同設立することになります。ウィノグラード自身も2002年にグーグルで客員研究員として研究を行い、ここで人間とコンピュータの相互関係に関する理論を展開しました。

近年の活動

最近では、ウィノグラードは共同コンピューティングに関する研究を続けており、ユビキタス・コンピューティングの観点からの共同作業の利用に焦点を当てています。スタンフォード大学では、人間とコンピュータの相互関係（HCI）に関する講義やセミナーを担当し、次世代の計算機科学者の育成に尽力しています。

主な著書

ウィノグラードの重要な著書には以下のようなものがあります：

• - 『Understanding Natural Language』（1972年）
• - 『Language As a Cognitive Process: Syntax』（1982年）
• - 『Understanding Computers and Cognition: A New Foundation for Design』（1987年）
• - 『Usability: Turning Technologies into Tools』（1992年）
• - 『Bringing Design to Software』（1996年）

彼の研究は、計算機科学とその応用分野におけるデザインの理解を深めるための重要な礎を築いています。その活動は今日でも続いており、今後の人工知能やソフトウェアデザインの進展に大きな影響を与えることでしょう。

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